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組織を蝕む「大ヌシの尊」(27年6月19日)

 会社に「ヌシ」が発生すると、コミュニュケーションがなくなり、行き詰る

 どんな会社でも、作業のほとんどはムダである(ここで「ムダ」とは、付加価値を生まない、つまりお客からお金を貰えない作業を示す)。従業員30万人で営業利益2兆円、つまり一人あたりの利益が給料より高いトヨタでさえ、正味作業は10%以下で、現場作業の90%以上はムダだといわれている。まして「普通」の会社は、作業の99%以上がムダといってよい。

 ムダをなくすために、5Sの徹底など、企業はいろんな取り組みをしている。99%のムダ時間のうち、1%をまともに働くだけで、生産性は2倍になる。

 じつは、そのムダ取りの最大のものが、「助け合い」である。
 会社の仕事は、必ず忙しいところと、暇なところがある。時期や時間によっても異なるし、慢性的に違う時もある。会社全体が、一様に忙しければ一番いいのだが、そんなことはありえない。
 そこで、仕事の薄いところの人が、忙しいところを手伝う。その「助け合い」がうまくなされれば、一気に効率は高くなる。

      青色お化け        へびお化け

 しかし、多くの会社にはその助け合いを阻む「魔物」が潜む。
 それは、「ヌシ化」、「単能工者」、そこから発生する「コミュニケーション不足」である。この魔物の毒が回れば、助け合いどころか、会社を腐らせ消滅させてしまう。

 「ヌシ化」とは何か。ある仕事を一人が丸抱えするようになると、彼はその仕事の「ヌシ」になる。人一倍経験があって、頭のいい人ほどその傾向にある。そうなると、その仕事はヌシにしかできない。ヌシにしかわからないことがどんどん増える。
 「単能工者」は、ヌシの子分である。ある範囲の仕事はできるが、そのほかの仕事はやろうともしない。

 ここから、組織としては致命的なコミュニケーション不足が生まれる。コミュニケーションは組織の心臓であり、これが機能しなくなると、心不全で一巻の終わりとなる。
 同じ会社なのに、隣の部署の忙しさも、暇なお化けがいるのも気づかない。他が何をしているかわからないのに、助け合いどころではない。「単能工者」では、わかっていても助けることができない。

 悪いことには、「ヌシ化」が進めば進むほど腐敗が進み、気が付いたときは取り返しのつかないことになっている。不正や不祥事の、時限爆弾を抱えているようなものだ。モノも人も同じところにとどまると、必ず腐敗する。
 大銀行のディーラーが巨額の損失を出したこともあるし、会社の経理担当者が愛人に何億もの金を貢ぐ事件は後を絶たない。製造現場のヌシは、自分の周りにお化けを養殖し、じわじわと会社を痛めつける。
 「ヌシ化」は、競争のない業界ならトップにまで及ぶ。こうなると手に負えなくなる。最近では、FIFAの不祥事がある。さらに特定の業界全体がヌシになり、日本を蝕んでいる。

 そんな組織にしないのが、経営者の務めである。そもそも、ヌシをつくったのは、経営者の責任である。目先の生産性低下を恐れ、人事のローテーションをやらなかったからである。
 組織内で仕事の交流を行わなければ、どんな組織も時間がたつほどリスクは増大する。会社に「大ヌシの尊」を奉ってはいけない。
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