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水産加工会社の戦略(27年6月11日)

 開発した商品も、安全性やおいしさなどについて、不断のレベルアップが必要である

 この会社は、地元福井県産を中心に北陸の海産物を、干物や一夜干し、切り身などに加工し販売を行っている。仲介業者を通した量販店への販売であるが、従来の普及品では価格競争が厳しく、また海産物だけに仕入れの量や価格の変動が大きい。したがって、安定して高収益をあげる経営体質にはなっていなかった。

 そこで、海産素材の組み合わせで高付加価値の冷凍商品を開発し、新鮮な海産物の加工食品をつくることを計画している。冷凍食品は長期間保存がきくため、海産物原料を安いときに仕入れることもできる。
 ターゲットはギフト市場で、最終消費者は関東・関西の個人や法人。製品を中元・歳暮需要を含む贈り物や進物などに仕上げる。直接の販売ターゲットは、ギフト卸・メーカー、小売(百貨店・高級量販店・専門店)等である。
         タコ 2匹  この商品の優位性は、

①地元の新鮮な海産物を遠隔地で食することができる
 日本海の食材を加工し、新鮮なまま消費者の食卓に上らせることができるという、付加価値の高い商品を提供できる。

②安全・安心な食品の提供
 強力な殺菌効果を有し残量毒性がないオゾン水による殺菌、急速冷凍保存技術の確立、信頼できる包装によって、安全・安心な加工食品を提供する。
 
③多様で柔軟な商品の開発が可能
 おいしいと評判の福井県食材の、様々な組み合わせや形態を開発し、提供できる。さらに(保存が効くため)、漁の状態に合わせての、柔軟な加工の組み合わせができるようになる。

 このため当社は、急速冷凍器とオゾン殺菌装置を購入した。

<急速冷凍器について>
 食品中の水分は-1℃あたりから凍り始め、-5℃程度でほぼ凍結する。この間に水は氷結晶となるが、この温度帯を通過する時間が長いと氷結晶が大きくなり、食品の組織を大きく損なってしまう。食品の組織の損傷を極力少なくするためには、この温度帯を急速に通過させる必要がある。この凍結方法を可能にするのが、急速冷凍機である。
 急速冷凍した食品は、-18℃以下の冷凍庫に移動、保管する。冷凍食品は、-18℃以下の冷凍庫で温度変化をできるだけ少なくして保存した場合、8ヶ月から24ヶ月間は最初の品質が保たれる。

<オゾン水生成装置>
 この会社はこれまで、加工現場の容器や工具などの殺菌には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用していた。しかし、①殺菌・洗浄に時間がかかる、②塩素臭がつく、③殺菌範囲が限定される、などの問題があった。そこで、殺菌能力が高く、容器や工具だけでなく、床や作業台など、工場内を幅広く殺菌・洗浄できるオゾン水生成装置を導入し、商品の安全性を高めることにした。(オゾンは、最終的にすべて分解するため、食品に残留することもない。)

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 これを軌道に乗せるだけでも大変である。商品ができたとしても、買ってくれるお客がいるとは限らない。
 そして、もしうまく事業化できたとしても、それで終わりではない。開発した商品は、不断のレベルアップが必要である。その場合、以下の点に留意して高品質化をはかっていく。

①安全性
 生産者の思いと消費者の思いには温度差がある。消費者は、「安全」をあたりまえだと思っており、不信感を持たれると一気に見放される。

②おいしさ
 「うまみ」や「糖度」に加えて、成分の量と質、硬さや歯ごたえ、風味や色つやなど、消費者の趣向性を考慮するとともに、何がうまいのか、その特長を認識する。

③産地の原料
 原料の質如何によって、その品質は決定的に異なる。

④栄養、効能
 機能食品や栄養食品が売れているように、消費者は、栄養と健康を関連付けている。栄養と健康、美容効果などを示すイメージづくりが大切である。

⑤流通特性を考える
 生産から流通、店頭、消費までの流れを考えた高品質化を考える。痛みが遅い加工食品の開発、さまざまな温度帯の輸送や管理、流通時間の短縮化が必要である。

⑥価格とのバランス
 高品質化の目的は、プレミアム価格での販売ができることによって、高収益を挙げることである。競合品とわずかの違いがあれば、多大な利益が得られる。差別化のできる商品開発を目指したい。


 あまり面白くはない。ただ、どんな会社でも、奇抜なアイデアと同時に、地道で常識的な管理ができなければ、維持することはできない。
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