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資本主義の終わり(27年6月8日)

 世界の成長が終わりの時代に向け、日本が収奪の対象にならないためにこそ、アベノミクスは必要

 水野和夫氏(日大教授)は、私の密かに師事する経済専門家の一人である。その水野氏は以前から、「一部の富裕国が、大多数の資源国を搾取することで成り立ってきた、従来の資本主義構造自体が崩壊しつつある」との見解を述べていた。

 水野氏は、今年の「新潮45」4月号でつぎのように述べている。これらの見方に対して、私も同意するところは多い。

①西洋史は「蒐集(しゅうしゅう=収奪)」の歴史で、それを効率よく行えるのが「資本主義」であった。
②「資本主義」は今や機能不全に陥り、これからは経済社会システムの更新が行われる。
③「資本主義」と「民主主義」は、いずれも「過剰性」を内包している。(誰もが豊かになろうとするが不可能)
④周辺国からの「蒐集」ができなくなった欧米は、グローバリゼーションによる「蒐集」に転換した。
⑤しかしBRICSやイスラム国の対等などで、先進国はかっての「蒐集」が不可能になった。
⑥これからは、ゼロ成長となる「撤退戦」を余儀なくされる。
⑦この撤退戦に最も不向きな政治家が安倍晋三氏である。
⑧とにかく日本は1000兆円の借金問題を解決しなければならない。
⑨そのためにはエネルギーの海外依存の解決が必要である。

 ただここで水野氏は、安倍総理のことを「狭い視野、浅い思慮、地球儀を俯瞰すると言いながら過去の歴史に少しも学ぼうとしない姿勢は、本来なすべき経済施策の真逆を彼に取らせている」と述べている。

 これこそ、視野狭窄的な見方ではないか。「撤退戦」は一筋縄ではいかない。押したり引いたりしながら、落としどころを探るのが「撤退戦」だからである。
                 赤富士 また、日本政府の1000兆円の借金についても、私とやや見解は異なる。水野氏は、日本政府の1053兆円もの財政赤字について、「新潮45」5月号でつぎのように述べている。

≪日本は現在ストックとして1000兆円の借金があり、フローでは毎年40兆円の財政赤字を生んでいる。 -略―
 年3%で増え続けている銀行のマネーストックが鈍減したとき、毎年40兆から50兆円の財政赤字を続けるなら、いずれ国内の資金だけでは国債の消費は不可能になる。
 日銀の試算では、2017年には預金増加が終わる予測になっている。そうなった場合、外国人にも国債を買ってもらう必要が生じる。だが、外国人は他国の国債金利と比べて比較しながら購入を決めるであろうから、金利の動きは複雑になり、現実には上昇することが考えられる。その結果、利払いが膨らんで、日本経済は瞬くうちにクラッシュすることが予想される。≫

 また水野氏は、「現在の金融機関の金融機関の預金増加分(24兆円との年金)と、企業の資金余剰が、毎年のフローの財政赤字をカバーしており、民間の金融資産がストックの1000兆円をカバーしている」と述べている。

 日本人の預金が目減りしていくというのは、ほとんどの財政破綻論者の言い分と同じである。たしかに、高齢者が、国内でなく海外でお金を使うようになればそうなる

 だから、そうならないようにしなければならないのである。そのためには、日本が働く力を増すことであって、緊縮財政で働く人を減らすことではまったくない。まるで反対である。
 いくら財政赤字が無くなっても、日本で買うものが無くなったらおしまいである。

 水野氏の言うように、世界中が成長しなくなる時代は、もうすぐそこまで来ている。そのとき日本が弱体化していれば、日本こそが蒐集の対象になってしまう。アベノミクスは、そうならないための最後のあがきである。撤退戦は、退けば良いというものではない。水野氏は、そこのところがわかっていない。
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