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企業の海外展開(27年4月17日)

 海外進出するためには、相当の覚悟とその上を行く能力が必要である

 国内の規制や成長の鈍化によって、多くの企業が海外進出を行っている。結果的に、日本の海外からの所得は増大する。
 しかし国内の経済は停滞する。多くの製造業が海外に拠点を移し、日本と同じものを安価につくる。それを日本国内で販売する。定年近い優秀な技術者は、格安の報酬で海外工場で腕を振るう。これでは、同じものをつくっている国内の製造業が太刀打ちできるはずがない。つまり、国内からの輸出が減って、逆輸入が増える。

 一方、松島大輔氏(タイ政治顧問)は「空洞化のウソ」のなかで、つぎのように述べている。

①企業が海外進出したから日本が空洞化になっているわけではない
②海外進出した企業は、国内でも事業を拡張し雇用を増やしている
③2009年4月から海外子会社からの配当を非課税とする制度が導入された
④日本国内では経済成長は望めないが、東南アジアは今後20年以上高度成長が続く
⑤優良海外進出企業は、その製品の90%以上を日本以外で販売している
⑥中小零細企業の海外展開は、まず外地日本企業向けのビジネスからはじめる
⑦南アジアの物流インフラは、自ら構築したほうがいい
⑧日本企業によって、東南アジアのデフェクトスタンダードが生まれつつある

 3.11後、それまで続いていた貿易収支が赤字に転落、2014年度は経常収支まで赤字近くまで減少した。貿易収支の改善が見られないため、投資の重要性が増大している。
 松島大輔氏の主張するように、人口が減少する日本に閉じこもっていては経常収支が改善されず、このままでは日本は破たんする。

 したがって、ある程度の海外展開はいたし方ないと思う。
 人件費が、海外との競争にさらされている企業や価格以外の独自性を打ち出せない企業、あるいは会社の一部に不採算部門を有している企業もある。これらは、日本では存続できない。無くなったらそれまでである。
 そのような企業他部門は、海外へ行くのも大きな選択肢の一つである。海外進出することによって、国内部門が強化されることも多い。

 藤本隆宏氏も、「ものづくりからの復活」の中で、「多国籍企業の存在、賃金・生産性・為替レートの不確実性、能力構成の不可逆性という3つを前提にすれば、生産主力は比較優位に従って(海外移転して)も『絶対優位のある工場は復元可能な形で国内に残す』のがいい」と述べている。すなわち国内の高生産工場は、「戦うマザー工場」として残し、国内外での「二本足で立つ経営」が求められる。
 つまり、海外で業績が上がればその企業は拡大し、国内での雇用も増える。そのような成功事例は、よくマスコミで取り上げられる。


 しかしこれまで、日本から海外展開した企業の多くは失敗している。福井の眼鏡製造業の海外進出は、すべてみごとに敗退した。江守GHでさえ、中国で巨額の損失を発生させ、大幅な債務超過に陥った。
 いま海外で好調だとされている企業も、ほんとの実態はわからない。化けの皮をはがされたとき、日本全体でどれくらいの損失が発生するのだろうか。もちろんそうなれば、第一次所得収支が激減し、経常収支は完全にマイナスになる。日本の屋台骨が揺らぐ。
 海外進出するにも、相当の覚悟とその上を行く能力が必要なのである。
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