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ものづくりからの復活②(27年2月19日)

 「インテグラル型」(おもてなし)のサービスも、国際的な「ハンデ」が無くなれば、大きな強みになる

 藤本隆宏氏の「ものづくりからの復活」には、製造業に関する数多くの論点が記載されている。その中のいくつかを紹介しよう。

①「良い現場」とはなにか
 藤本氏は、「良い現場」とは、≪高い生産性・品質・スピードによって、顧客へ向かう「良い設計の良い流れ」を生み出し、相対的に高い生産性・品質を達成する工場≫のことだと言っている。
 すなわち、「設計情報」を正確に、図面、金型、治工具、手順書などの媒体に転写して、よどみなく高精度で行うことのできる現場である。設計情報の転写が行われていない時間は、「在庫のムダ」や「手待ちのムダ」など7つのムダとして、徹底的に削減する。もちろん、顧客と企業の間を行き来する「設計情報」の流れと密度を確保し、不断に改善することで付加価値を高めていく。

 よく考えれば、当たり前のことをややこしい言葉で言っただけのような気がする。どうすればそれができるかが問題である。

②なぜ日本は「良い現場」を生み出したのか
 1950年台からの高度成長期、移民に頼れない日本は、出稼ぎ者を加えても人手不足であった。失業率が1%を切り、慢性的に労働者が不足した日本は、いったん雇った人は大事にしなければならなかった。そのため、とくに大企業において長期雇用が普及した。
 長く一緒にいると、コミュニュケーションが発達し、チームワークが良くなる。人手が足りなければ、一人が多様な仕事をこなして、多能工化する。また、企業間での分業が促進される。もちろん、少ない人手で効率を上げるため、数々の工夫が生まれる。
 こうして戦後日本には、調整力の豊富な統合型の「良い現場」が数多く生まれたという。人手が足らないからこそ、生産性の高い「良い現場」ができるのである。

 いま高齢者の介護のため、日本に移民を促進させようとしている人たちには、耳が痛いと思う。この分野は、まだいくらでも工夫の余地はあるはずだ。

③ものづくりはサービス業
 顧客が喜ぶ新しい設計情報を創造し、媒体に転写し、顧客へ向かう「設計情報の良い流れ」をつくることが「広義のものづくり」なら、それが「製造物」であろうと「サービス」であろうと同じである。
 企業が人工物を操作して無形の機能(サービス)を取り出し、機能のみを顧客に提供すれば、それはサービス業である(タクシーや美容など)。一方、製造業は消費者に人工物を提供するが、消費者はそれを操作して無形の機能(サービス)を発生させる。購入した自動車を運転してドライブを楽しむことがそれにあたる。これを「セルフサービス」と呼ぶこともできる。
 生産も消費も開発も、「すべてものづくり」であり、「すべてサービス」ともいえる。それらすべてが、世界を覆う設計情報の循環によって、互いにつながっている。だから、製造業とサービス業を区別することは、本質的な意味をなさない。現に、金融、ソフトウェア、電気エネルギー、放送コンテンツなど、区別が難しい業態が発生している。
 異なった言い方ではあるが、このようなことは、これまでも多くの人に言われてきた。

 ただ藤本氏は、日本の「おもてなし」は、サービスの中で典型的な「インテグラル型」だと言っている。そして、日本のサービス業の生産性が低いと言われるのは、その品質が良すぎるからである。とくにこの「インテグラル型」(おもてなし)のサービスにいえる。
 これはその性質上、これまで国際競争に晒されてこなかったため、正当な評価がなされなかった。これも国際的な「ハンデ」が無くなれば、大きな強みになる。

 藤本氏は、そこかしこに「設計情報」と言うわかりにくい言葉を使っている。「設計情報」とは、「顧客ニーズを具現化したもの=ウォンヅ」と同じようなものと思うのだが。
 そして、「インテグラル型」(おもてなし)のサービスは、具体的にそれをどのように国際競争の土俵に乗せるかが、日本企業にとって大きな課題であろう。
                                   (③へ続く)
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