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経営についての格言(12月25日)

 矛盾をはらんだ格言をどう活かすかは、歴史の蓄積が生み出す「道徳律」である

 商工会議所から貰った来年用のカレンダーに、渋沢栄一の「経営に効く言葉」というのがあった。これは、その中のひとつである。

 【すべて世の中のことは、もうこれで満足だという時には、すなわち衰える時である。】

 たしかに、人は常に先を見越して進歩していかなければ、衰退する。経営目標管理などで、このことは嫌というほど聞かされる。

 一方、つぎのような格言も、よく聞く。

 【足るを知る】 である。

 京セラの稲盛和夫氏がよく使う言葉である。
 「人間は、もうそんなに強欲にならなくてもよいのではないか。欲望にも節度が要るのではないか」ということである。満足することを知っている者は、貧しくても幸せであり、満足することを知らない者は、いくら金があっても不幸である。
 この言葉にも共感する。

 しかしこの言葉と、先の渋沢栄一の言葉は、明らかに矛盾する。「足るを知ったら」、あとは衰退しかないのではないか。

 さらに、この言葉を弱い立場の人間が信条としてしまうと、結果的に強い立場の者ばかりが利益を得てしまう。つまり一般庶民や、貧しい人たちのなかに「足るを知る」人が増えていけばいくほど、「持てる者」の立場が安泰になっていく。
 なぜなら、「あいつばかり恵まれるのは許せない」という、庶民の嫉妬心や向上心を緩和してくれる役割を、この教えは果たしてくれるからである。

 したがって、これらの言葉の使い方のバランスが難しい。これも、歴史の蓄積による「道徳律」を身に着けるしかない。使い方を誤ると、逆効果になる。
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