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人の命より環境(12月19日)

 「自分だけが正義」と思う人は、人の命より自分の思想を大切にする残酷な人種である

 沖縄の米軍基地移転を阻む理由の一つが、辺野古に移転するとジュゴンやサンゴが破壊されてしまうということであった。絶滅危惧種・ジュゴンの餌となる海草藻場が広がる辺野古の海域は、サンゴ群集、干潟、マングローブ林などとともに、サンゴ礁生態系を支える、重要な場所とされている。

 ただ、沖縄の海洋自然を破壊するのは、米軍基地だけではない。沖縄は、港や漁港などのインフラ整備によって、北谷や糸満などの干潟が消失し、赤土の汚染が深刻化した。
 そして今後、辺野古住民の生活基盤を支えるためには、このようなインフラの拡充が不可欠である。その場合、環境影響調査などなされないため、むしろ基地建設よりも環境破壊は進む。辺野古基地にしても、米軍撤退後には民間飛行場になる。

 間違いなく言えるのは、辺野古周辺には住宅地が少なく、普天間に比べ安全性は飛躍的に向上する。さらに移設に伴い、嘉手納飛行場から南にある補給地区などの5つの拠点も返還され、他の基地などに集約される。
 つまり、普天間基地の危険性が除去されるばかりでなく、他の土地も返還される上、軍事的にも効率化が進む。したがって、辺野古への基地移設が遅れるほど、実質的に沖縄の人の命は損なわれることになるのは間違いない。
 
 「環境」のために人間の命を犠牲にした事例として、かってのDDTの規制があげられる。
 いま世界では、毎年2億人がマラリアに感染し、およそ60~100万人が亡くなっている。死者のほとんどはアフリカに住む子供である。それでも、死者数が「この程度」で収まっているのは、DDTの室内散布による蚊の駆除のおかげだといわれる。

 アフリカにおけるマラリアによる死者が200万人を超えたことがあった。「沈黙の春」が出版され、DDTが鳥や昆虫を絶滅させ、ひいては人類をも滅亡に導くということが言われていたため、DDTを全面禁止にしていたからである。
 DDTがマラリア蚊を駆除することはわかっていた。だが、「先進国の正義」は、人間より環境のほうを大切にした。そのためアフリカでは、DDT全面規制を解除するまでの数年間、子供を中心に数百万人が亡くなってしまったのである。

 さらにそもそも、ジュゴンの保護が環境保護になるかどうかは、大いに疑問である。じつは、生物多様性を破壊しているのは、ジュゴンやコウノトリなどの大型動物である。このことは、あまり知られていない。

 「我こそは正義」と思う人は、人の命より自分の思想を大切にする。視野が狭くて残酷な人たちは、どこの世界にもいる。
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