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1票の格差はほんとにいけないのか(4月1日)

  1票の格差は、都市部による地方からの搾取を是正するもので、憲法の精神そのものである 

 先月広島、岡山高裁で、1票の格差による選挙は無効であるという判決があった。この判決を含めて、「1票の格差は違憲」であるとの判決が、ほとんどの裁判所でなされている。国会では、「0増5減」の実施に躍起である。そのあおりで福井県では、選挙区選出の議員が減ると言う。

<1票の格差是正の不思議な理由> 
 多くの人は何の疑問もなく、1票の格差はいけないと思っている。
 なぜいけないのか。一般に、つぎのように言われる。

≪1票の格差を問題にするのは憲法が定める国民の法の下の平等が脅かされるからです。住んでいる地域によって、1票の重みが大きく異なるのは、民主主義の根幹である投票価値の平等を損ないます。地方から都市部へ人口移動が続くので、定数配分を見直さなければ格差は拡大する傾向にあるのです。日経Bizアカデミー2012.12.17より≫

 また、ある人は「最高裁の判決だからしょうがない」と言う。

<1票の格差是正論への疑問>
 こんないい加減な理由で納得できるであろうか。まさにトートロジー(同義語反復)である。
 それに1票の格差が問題なら、なぜ1票の価値の低い都市部へと、人口移動が続くのか。「定数配分を見直さなければ格差は拡大する傾向にあるのです」というのは、まるで反対である。定数配分を直したその時だけ1票の格差が縮まるだけで、その後はさらに格差(1票の格差と貧富の格差)が拡大している。

 もともと選挙制度が始まった時には、地域ごとの1票の格差はあまりなかった。それを国民が、(都市部への移動と言う形で)身をもって拡大したのである。つまり、1票の格差拡大というのは、国民の総意に他ならない。あるいは、国民自身が1票の価値平等の権利を放棄したことになる。

 憲法前文にもあるように、「そもそも国政は、国民の厳粛な選択によるもので」なければならないはずだ。国民自身が身をもって抵抗している「1票の価値平等」という悪平等を復活させることは、社会を混乱させるだけでなく、重大な憲法違反である。
 それに、「最高裁の判決」がすべて正しいとは限らない。政治家が司法に従うのはともかく、我々国民が、世間知らずの裁判官の見解を、聖典の如く信じる必要はまったくない。このような制度的なものは、「素人」の見解のほうが正しいことが多い。「専門家」は、専門分野だけにこだわったあげく、ものごとの本質を捻じ曲げてしまうからである。

               くの一

<1票の格差はほんとにいけないのか> 
 それでは、本当に1票の格差はいけないのであろうか。考えてみよう。
 過疎地で1票の価値が高いということは、少数の住民が多数の政治家を選べるということである。ではその選ばれた多数の政治家は、選んでくれた住民に、その分の利益をもたらしているのか。たしかに地方へは、公共事業や農家の過保護という形で、幾ばくかの利益配分はある。しかしそれは、人口が集中している都会が地方から搾取しているうちの、ほんの一部にしかすぎない。また国の政治家は、国家の政治をすべきであって、選んでくれた地域への利益誘導に費やすエネルギーはそんなにないはずだ。

 実態として、1票の価値が低いとされる都会ほど人口が増えている(ますます1票の価値が低くなっている)。人が集中するほど、それだけで効率的な社会になり、構造的に地方から都会への利益誘導が起こりやすくなるからだ(具体的には後述する)。逆に、1票の価値が高いといわれる地方は、都会に搾取されて人口が減少し、1票の価値がどんどん高くなってきている。
 そのため現在は、1票の格差と地域間格差とは相反状態にある。つまり、1票の価値が高い地域ほど、過疎に悩み経済格差に悩んでいる。そして、1票の格差と地域間格差とどちらが重要かは、バカでもわかるはずだ。1票の格差問題は手段でしかないのに、地域間の経済格差は実態そのものである。
 1票の価値平等を唱える人は、日本がますます過疎と過密で苦しむことを願っているとしか思えない。

<地域間格差とどちらが大事か> 
 そもそも、「1票の格差(価値)を是正せよ」という主張は、1票の価値が低い地域(都会)ほど不利益を被っている、ということが大前提なはずである。しかしその前提は、まったく成り立たない、どころか真逆なのだ。

 具体的に、つぎのような地方から都会への、構造的な利益誘導が発生している。
 都市と地方の賃金格差、面積当たりのインフラ整備、空港などの重要施設との距離、地下鉄などの交通網(地方では個人が自家用車を買わざるを得ない)、圧倒的な情報格差と人脈、研修や教育の機会、あらゆるビジネスチャンス、1芸だけで食える人口、国際会議、マスコミ発信力、知名度、居酒屋、ブランドショップ、高級料理店、歌舞伎座などの文化施設、各種クラブの数、田舎から都会へ行くための万円単位の交通費、地方で稼いだ税金を吸い取る大企業の本社の数。そしてなんといっても地方は、手塩にかけて育てた子供を、仕送りのため財布をはたいて都会の大学に送り、あげく優秀なものほど都会に略奪される。これらの経済、文化格差に加え、地方は大雪、噴火など自然条件も悪い、住密度が低いため、民意を議員に伝えにくい環境にある。・・・・等等。(地域間格差については、『日本の地域間格差・・橘木・浦川著・・日本評論社』に詳しい) 
 
 これだけ地方が虐げられているのに、都会より地方が恵まれているというのだろうか(まさか、住民あたりの国会議員の数が少なくて、センセイと呼ばれるチャンスが少ないのを、ひがんでいるのではないでしょうね)。ほんとうは、憲法14条は、これらの格差こそ是正せよ、と言っているのではないか。法の意図するところを、曲解してはいけない。

                無題

<1票の格差は憲法違反ではない>
 そして、本当に1票の格差は憲法違反なのか、きわめて疑わしい。憲法を読んでみても、直接1票の価値を人口あたり平等にせよ、とはどこにも書かれていない。14条にそれらしき条文(すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない)はあるが、こんなややこしい条文を曲解して、無理やり1票の価値の平等に結びつける専門家の神経が理解できない。

 14条を素直に読めば、「すべての国民は、差別のない平等な暮らしができる」としか読めない。条文中の「政治的に差別されない」というのは、あまり意味がない。「政治」は、「経済」や「社会」を成り立たせるための、手段にしか過ぎないからである(もっとも、このような憲法悪文こそ改正すべきである)。この意味がない項目だけを取り上げ、重要な「経済」や「社会」の平等を疎かにすることは許されない。さらにこの条文では、「政治的、経済的又は社会的関係」とあり、社会的に差別されなければ、政治的、経済的に差別されてもやむを得ないという解釈もできる。

 もしこれでも、現在の「1票の格差」が問題であると言うのなら、そして地方のほうが恵まれていると思うのなら、有権者は1票の価値が高い地域(地方の過疎地域)に移動すればいい。それこそ憲法で、移動の自由は認められている。そうすれば、地域間の票の格差はなくなる。

 ところが現実には、逆の移動が発生し、票の格差はますます開いている。なぜなら、この程度の「1票の格差」では、都市と地方の「本当の格差」はなくならないからである。だったら都市部への人口移動が無くなるまで、「1票の格差」を広げなければならない。その比率は、今の10倍ぐらいになってもいい。すべての国会議員が集中する東京都の中心部などは、地区の議員定数をゼロでもいいくらいだ。
 選挙における真の平等とは、「投票価値の平等」の本質を突くことであって、「最も忠実な定数配分は人口比例」では、まったくないのである。

 したがって、いまの程度の1票の格差は、憲法違反ではない。この段階で1票の格差を減らそうとするのは、瀕死の病人の腹を鋸で切り開いて、荒塩と唐辛子をたわしで擦り付けるようなものである。政治家は、こんな判決は無視すればいい。それができなければ、曲解できないように、わかりやすく憲法条文を改正すべきである。

<理想の1票価値平等とは> 
 もっと言えば、そもそも選挙制度における地域エリアごとの区割りというのは、便宜的なものにすぎない。地域エリア以外にも、年代、残存寿命、職業、責任感、政治に対する熱意・意欲、学力、知識、知能程度、各種資格、納税額、収入、財産、寄付金、居住面積、癒し空間、エネルギー供給、水や食糧供給、国境、森林面積など、さまざまな価値に伴う割り振りがあるはずである。ややこしいので、今はそれを一緒くたにしているだけだ。

 難しいが本当は、その項目を適正に決め、それぞれの価値に応じて、一人づつ票の重み配分を決めるのが筋であろう。ただ、さまざまな票割り、区割りを行った場合でも、その時点で最も大きな課題のある、或いは虐げられている人にこそ、1票に価値を与えなければならない(プロ野球ドラフト制のように)。そうでなければ、真の格差はますます拡大する。
 

憲法14条 1項  すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。≫
 
 こんないい加減な憲法条文(悪文の典型)に騙されて、現在の1票の格差を違憲とする裁判官は、日本に巣食う癌細胞である。早急に罷免しなければいけない。
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