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詭弁を学ぶ(5月5日)

 「論理病をなおす!」香西秀信 (ちくま新書)を読んで

 この本は、「詭弁」について説明している。昨日の当欄、銃規制反対者の詭弁に関する意見は、ここから学んだものだ。詭弁が理解できれば、自他の論理間違いを見抜くことができ、議論に勝つ可能性も高くなる。
 この著書では、どのように詭弁を分類・説明しているか、みてみよう。

(1)多義、暖味の詭弁
 言葉が複数の意味で使用されることにより、また何を指すのかが分からないまま用いられることによって、議論に不正を生じさせるもの。たとえば、
 「公園内で樹木を折るべからず」という禁止事項に対し、「竹なら樹木ではないからいいのか」という詭弁がある。これは、禁止者の意思に反した解釈である。

(2)藁人形攻撃・・弱いところを突く
 相手の主張を、こちらが反撃しやすいように、わざと歪めて表現する詭弁のことである。
 [最近の学生はあまり勉強しない]と発言した学部長の発言を受けて、学生委員長が「ただ今学部長から、最近の学生はバカだという旨の発言がありましたが・・・」という詭弁。

(3)人に訴える・・内容より人格を問う詭弁
 その議論の正当性を問うのではなくその人物の人格や発言の動機、実際の行動や過去の発言との整合性を問題とすることで、その議論そのものを否定しようとする詭弁のことである。
 これは、論敵や政敵を攻撃するときなど、しょっちゅうみかける。

(4)性急な一般化・・・一部の事実をもって全体がそうだと思わせる詭弁
 少数の、あるいは不適切な事例から、それらの事例にみられる性格を、それを含む母集団全体の性格と決めつけてしまう詭弁のことである。
 A高校の生徒が万引きで逮捕されたら、「A高校の生徒はほんとにたちが悪いな」という詭弁。(ただこういう場合は、もともとA高校に対し偏見を持っている場合が多い)
 また、死刑廃止論者が言う「殺人犯は、その犯行時に自分がこの犯罪で死刑になるかどうか、考えていない。よって、死刑制度は犯罪抑止にならない。」は、詭弁である。なぜならこの場合、殺人一歩手前で犯行を自制した(どれだけいるかわからない)他の大多数の殺人犯予備軍のことが、すっぽりと抜け落ちているからだ。
 そしてこの詭弁は、人々に危険を煽る場合にもよくつかわれる。たとえば「福島のBさんが、白血病になった。これは原発事故の影響で、放射能は微量でも危険だ。」と言うのは、一定数の人は必ず白血病になる、という事実を無視した詭弁である。

(5)先決問題要求の虚偽(不足要求の虚偽・・筆者意訳)・・まだ足らないからという詭弁
 たとえば、「構造改革では国民の暮らしが良くならない」という意見に対して、「いやそれは、構造改革がまだ足らないからである。」という詭弁がある。これは詭弁であるが、反証は難しい。これを言い出すと、水掛け論になってしまうからだ。

 このように香西氏は、詭弁を分類している。ただ、ときと場合によって、これらの「詭弁」が必ず不当であると決めつけられないから悩ましい。だから「詭弁」というのであろうが・・・。
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