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木の駅プロジェクトから自抜型林業へ(11月27日)

 熟練度が高まるほど生産性が向上する自伐林業は、差別化しやすく、日本人にはもってこいである

 高知県佐川町では、「土佐の森救援隊」事務局長である中島健造氏の講演を聞いた。
 この地域は、「木の駅プロジェクト」のモデルとされている。
 「木の駅プロジェクト」は、山で放りっぱなしになっている木(林地残材)を「木の駅」に出荷することによって、山林の美化や町の活性化につなげようとするものである。集積場が、山から10~15kmくらいの距離にあれば、手軽に林地残材を持ちこむことができる。

 ただボランティアであっても、労力はかかるし燃料代やトラックなどの経費も必要だ。販売では、チップ材ではトン3000円程度である。プラス3000円、つまりトン6000円ぐらいは欲しいが、C材がそれ以上で売れる市場は少ない。

 そこで佐川町では、地域通貨であるモリ券を発行している。
 モリ券は、間伐・林地残材の搬出など「森林の保全活動」に対する環境直接支払いとして発行される。1モリで日本国通貨1千円以下の価値を持ち、地場産の商品や地場サービスなどと交換することで「地域経済」を促進する。

 木の駅集積場 H26.11.24  ボイラー用ペレットタンクH26.11.24

 中嶋氏の講演内容は、この「木の駅プロジェクト」を「自抜型林業」へとつなげようとするものであった。

 中嶋氏は、日本の林業を「施業委託型」と「自抜型」に分けている。
 国が推進する「施業委託型」は、山林地主が森林組合などに伐採を委託し、たとえば1ha300万円収入のうち50万円を受け取る。
 ところがこの方法では、持続できない。地主の責任である植林や下草刈り費用が、200万円/haもかかるからだ。50万円/ha受け取っても、大赤字である。地主は植林をあきらめ、山はほったらかしになる。

 また、山主が伐採を委託する業者は、大規模伐採型がほとんどである。この方法では、4人の作業員に1億円の設備投資が必要で、さらに燃料代と修理代に年間2000万円かかる。
 この「効率的伐採」によって、売上は上がるが、①雇用が少ない、②山を荒らす、③持続性がない、などの問題が起こっている。つまり、いま主流の「施業委託型」林業は、補助金を使って日本の山を荒らし、機械メーカーばかりを太らせている。日本の農業問題とそっくりである。

 これに対し「自抜型」は、山林地主や地域の人が、20%づつの間伐を50年以上続けていく。こじんまりした林業である。
 ①雇用力が大きい、②持続型、③小規模設備で低投資で済む、④参入が容易、⑤適切な間伐によって木の成長率が高くなる・・・と、いいことづくめである。1人30 haあれば、事業として成り立つという。
 現実にこの「自抜型」林業は、素材生産シェアの20%を占めるまでに伸びている。

 さらに中嶋氏は、つぎのように述べている。
 町おこし、村おこしといえば、すべての地域は、「観光」と「6次産業化」を挙げている。ところが、日本の67%を占める「森」を活かそうとする地域は非常に少ない。とくに、池田町は92%が森林である。ポテンシャルは、林業の方が圧倒的に大きい(海岸の町なら海のほうが大きい)。

 「自抜型」林業にも、課題はある。担い手不足や気候、風土などの地域特性、熟練度による生産性の違いなどである。

 それでも機械に頼らず、熟練度が高まるほど生産性が向上する事業というのは、差別化しやすい。熟練度が増すということは、その人の価値が向上するということである。人の価値を高めて収入が増すような仕事は、日本人にはもってこいではないのか。

 実施するための課題や阻害要因を克服し、地域にあった産業として活かしていけるか。製造業は、とっくに大量生産から多品種少量型へと移行した。もしかしたら 森を活かす「自抜型林業」が、これからの地方創世の大きな流れになるような気がする。
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