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鮮魚・仕出し屋の経営(7月25日)

 意欲ある後継者が事業を引き継いで、地域の人に食の幸せをもたらしてほしい

 このお店は、座敷での料理提供をメインに、近隣の会社やイベント時の仕出し弁当の配達、施設・病院向けの鮮魚販売を行っている。代表者夫婦、息子夫婦が従事しているが、店売りはほとんどない。福井の鮮魚店の独特なスタイルである。
 当店座敷の座席数はおよそ100席、2階に2部屋がある。周囲は、幹線道路から少し入った簡素な住宅街で、初めての客にはわかりにくい。目立つ看板もない。

【経営環境】
 日本は世界有数の魚食大国で、1人当たりの食用魚介類消費量は、世界最大である。我が国が世界一の長寿国となっているのも、魚食が大きな影響を与えているといわれる。中高年における極端な魚離れはまだ見られない。国民全体としての魚介類の消費は減少している。

 当店の顧客は、地域における町内会、老人会、各種組織・団体、一般客である。高齢者が多く、保守的な風土もあり、魚離れは限定的である。
 売上の主力は、店舗内の座敷宴会での飲食物提供である。近年は、宴会でのアルコール類の販売割合が大きく減少しており、客単価も下がっている。高齢者で足腰の悪い人やランチタイムでの女性客も見られるようになり、座布団座りでの宴席を嫌う人が増えてきた。

 競合は、仕出し弁当では、スーパー、コンビニ、宴会需要では、居酒屋全国チェーン店で、大きく需要を食われている。葬祭場の存在も大きい。また地域内には、同規模の同業者が2軒あったが、地域内の需要減退から、現在は同業者1軒のみとなった。

【当店の強み】
 その中で、当店はつぎのような特徴を持っている。
 全国チェーンの居酒屋は、不特定多数の顧客に数多くのメニューを準備して、顧客の注文に応じて提供する。一方当店のような鮮魚料理店は、地域内の馴染み固定客の好みを把握し、厳選された材料を店主の裁量で調理して提供する。予約販売のため、廃棄ロスはほとんどない。

 また当店は、毎朝一番のセリでの仕入れで、上質で新鮮な魚介類を見立て、購入する。原価率は50%を超えており、前述のように原料ロスも少ない。したがって、手ごろな価格で、顧客の好みに合った極上の料理を提供することができる。
 そのため地域内では、料理の品質について極めて好評を得ている。

 保守的な顧客が多いだけに、調理内容を大幅に変更することはないが、宴席ごとに1~2点、新作の創作料理を提供している。後継者である子息が、定期的に同業者間で開いている料理講習会で発案した料理である。これを随時提供し、顧客の評価を聞きながら、メニューに変化をつけており、マンネリにならないようにしている。
     エビ            鯛

【これからどうするか】
 代表者の子息が調理や顧客についての知見を習得し、ほぼ店舗経営ができるようになってきた。今後数年をめどに、スムースな事業継承を行いたい。

 そのために、以下のような経営のテコ入れを行う。

①座敷宴会部門を強化し集客をはかる
 これまで最も売り上げ比率が高く、好評で粗利益率が高かった座敷宴会部門を強化する。

②ランチタイムでの女性客の確保
 近隣の団地の主婦から、しばしば数人単位でのランチの問い合わせが入ることがある。なぜか女性客のほうが、客単価が高い。予約限定で受け入れているのに、地域全体には周知されていない。昼間の仕出し弁当も提供しており、予約があれば、座敷での和食ランチの提供は十分可能である。これを事業として確立する。

③施設整備
 そのために、従来の調理の品質を維持しながら、新しい顧客のニーズを探っていく。また、以前から足腰の不自由な高齢者や女性客のために、テーブル座席が要望されており、それに対応する。


 このような場は昔から、地域のコミュニティの場を提供する役割を果たしてきた。なんといっても、人々が集い一緒に「飲み食い」することが、互いに心を開く大きな力になる。市内でつぎつぎと、このような魚屋が消えていくのを見るのは寂しい。

 幸い当店の場合、意欲ある後継者が事業を引き継ぐことになっている。これからは若い発想で、地域の人に食の幸せをもたらしてほしい。
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