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起業の幻想(7月7日)

 つまらない起業家を支援するより、既存企業の拡大のための資源を投入したほうがいい

 昨年度から、起業する人に補助金を与える「創業補助金制度」ができた。国や自治体では、起業者の確保に躍起である。
 起業を支援する理由として、経済産業省は中小企業白書で、つぎのように言っている。

①経済成長に寄与する
 創業によって経済の新陳代謝が活発となり、経済成長を牽引する成長力の高い企業が誕生する。企業の参入・撤退がイノベーションの原動力となり、経済成長を支えている。
②雇用の創出
 情報通信業や医療、福祉といった開業率の高い業種では、雇用創出が雇用増加に大きく寄与している。小売業や飲食店、宿泊業においても、起業が雇用創出に重要な役割を果たしている。
③起業が生み出す社会の多様性
  新しい事業が増えると社会が多様化し、異常があって既存の事業がなくなっても、代替するものが残る。

 まさに、創業・起業こそが、日本経済のけん引力になるという。
 それに日本では、ずいぶん前から廃業する企業が開業者を上回っている。現在もそうである。このままでは、企業が無くなってしまう。
 その意味でも、起業者支援には、力を入れないといけないのであろう。

 だが、ほんとにそうか? 「お上」の言うことは、たいていきれいごとに過ぎない。
 スコット・A・シェーンは、「起業という幻想」という著書のなかで、つぎのように述べている(使っているのは、アメリカのデータ)。

①起業の半分は、それまで自分が働いていた産業である。
②あと半分は、ビジネスを始めることの容易な他の産業。
③すなわち、ほとんどの新しいビジネスは、魅力の乏しい業種で始められる。
④起業する人は、会社勤めしている中でも、賃金の低い人(能力の低い人)である。
⑤成長を目指すビジネスはわずかである。
⑥たいていの新たなビジネスは失敗する。
⑦失敗しないでも、起業家はそれほど儲からない。
⑧起業を促進しようとする公共政策はくだらない。
⑨これらの政策のせいで、失敗しそうで、経済効果に乏しく、ほとんど雇用を生まないビジネスが誕生している。
⑩起業が経済成長を促すのでなく、経済成長が起業を促進させている。
⑪そうはいっても、起業家を排除すべきではない。ただし、エリート起業家に限る。
⑫つまらない起業家を支援するより、既存企業の拡大のために同じ資源を投入したほうがいい。

 たしかに日本でも、新規設立会社の60%が1年以内に倒産、5年以内に80%が倒産、10年後にはたった5%しか残らない。
 
 国の考えとスコット・A・シェーンの考えは、正反対である。経産省のほんとの目的は、単に予算を獲得したいからであろう。

 ただスコットも、まったく起業に意味がないとは言っていない。その事業分野での知見が豊富で、新しい観点を持つエリート起業者なら、成功の可能性が高い。
 あたり前である。
 世の中は、あたり前のことを、あたり前にやることが大切なのである。
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