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本格的越前焼(5月13日)

 現代の越前焼を超えようとする「黒越前」の輝き

 「栄山窯」という、越前焼き陶芸品の製造、販売を行っている窯元がある。昭和60年に陶芸を開始し、平成13年には、永平寺町に窯場を設置した。現在は、年に2回窯焼きを実施、製品を地域内外の販売所や展示場で、顧客に直接販売している。
 現在、代表者とその妻、長男の3名で、作陶~窯焼~販売を行っている。

 わが国の陶磁器事業者の出荷額は、ピーク時である平成3年の1770億円から、平成17年には570億円と縮小。現時点では、年間500億円を下回っている。その分を輸入がカバーしているが、消費者の購買金額は低下しており、市場全体の縮小傾向は否めない。
 これは、輸入品価格に引きずられての単価の下落、及び消費者の手元で商品が飽和しているからだと思われる。また、流通面においても、これまでの、「メーカー→産地問屋→消費地問屋→小売店→消費者」という形態が崩れている。
 ただ百貨店では、高級品へのシフトを強めている。厳しい経済環境の中でも、消費者にとって価値の高いものであれば、高額であっても受け入れられているからである。

 まさに当事業所の製品は、その付加価値の高い陶磁器を好む消費者を対象としている。すなわち、当事業所の顧客は、陶芸品に関してのリテラシーを有する愛好家で、次項3.で述べるような、当社の製品の特長について、本物の見極めができる人である。全国で数万人~10万人程度であろうか。

                P1380005.jpg

【製品の特長】
 越前焼は850年の歴史をもち、瀬戸焼、信楽焼などとあわせ「日本六古窯」のひとつにあげられている。焼成されるときに薪の灰が器に流れ出し、溶け込む自然釉(ゆう)の風合いで知られる。
 とくに写真のような青い輝き模様(青筋)は、現在、当事業所以外では作り出すことができないという。釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を使わず、土本来の成分から出たこれらの色合いや風合い、艶、自然釉の流れの優美な模様は、本窯独特のものである。これを「黒越前」と命名した。
 この「青い輝き」模様は、重要文化財に匹敵すると言われ大英博物館に展示されたことのある「越前双耳壺(室町時代作)」とほぼ同じである。これまで、現代の陶芸作家にはできないとされていた。

【つくり方の特徴】
 焼き物・陶芸が他の造形芸術と異なる点は、灼熱の炎とその炎圧を利用して制作を行うという点である。当事業所では、自然窯での薪による加熱で、釉薬(ゆうやく)を使わず土に含まれている成分を抽出させ、前述のような独特の風合いと色合いを表出する。自然窯の複雑な焼成条件が醸し出す、絶妙な古の色触である。
 陶器に造詣ある人にとって、きわめて希少な価値である。
 
 そのため当事業所は、「還元焼成」(下(注)参照)での窯入れを行っている。ただこの方法では、微妙な酸素供給量の調節が必要で、さらに一酸化炭素が発生してしまう。したがって、自然窯での高温加熱条件維持作業は、きわめて高度の熟練と身体の危険が伴う。現時点で、この製法を用いる窯元はきわめて少ない(代表者がこれまで情報収集した範囲では皆無だそうだ)。

 代表者の長男(34)が数年前から、当事業で製作作業を行っている。今後5年をめどに、当事業所の製作ノウハウを伝承し、スムースな事業継承を行いたい。それには企業として、安定経営できる体制の確立が必要である。

 (注)還元焼成:酸素が足りない状態、いわば窒息状態で燃焼が進行する焼き方。
    酸化焼成:燃料が完全燃焼するだけの十分な酸素がある状態での焼き方。
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