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水危機は本当か(3月5日)

 水について、これまで漠然と思っていたことの多くは、まやかしであった

 「水危機本当の話(新潮選書)」を読んだ。著者の沖大幹氏(東大生産技術研究所教授)の講演を、聴いたことがある。いわゆるトンデモ理論に与することない、論理的な正統派学者である。
 この著作の中で、あらためて水に関しての薀蓄を得ることになった。これまでの常識を見直すような事柄が書かれており、面白かった。以下、いくつかの項目を挙げてみよう。

①水はなくならない
 当たり前であるが、地球上の水は循環している。雨が地下水となり、川を通って海に入り、蒸発したものが雨になる。水を利用するとは、水を汚すということである。
②4大文明は乾燥地帯にあった
 川の水さえ確保できれば、雨が少なく太陽のエネルギーが安定している砂漠地帯のほうが、農業に有利である。まさにその灌漑技術を持つ社会を、「文明」と呼ぶ。
③植樹は水不足に役立たない
 水があるところに木が生えるだけである。森林面積の増大が水を横取りしてしまい、黄河が断流したこともあるという。半乾燥地にわざわざ木を植えるのは、「美しい誤解」であって、百害あって一利なしである。
④食料は水である
 毎日2000キロカロリーを摂取している人は、2000リットルの水を使って作られた食料を食べている。
⑤水での大きな争いはなかった
 水問題が2国間の正式な戦争を引き起こしたことは一度もない。敵対的な行動をもたらすより、融和的な行動に至ったケースのほうが多いという。
⑥コメ、小麦、トウモロコシの生産効率(原単位)
 一定水量当たりの生産カロリーは、トウモロコシと小麦がほぼ同じで、コメの2倍もある。また、面積当たりの生産カロリーは、コメとトウモロコシがほぼ同じで、小麦の2倍である。つまりコメはたくさん水を使うし、小麦は広い土地が必要である。カロリー面では、トウモロコシが一番生産効率がいい作物である(昆吉則氏の試算では、日本の減反面積100万Hにトウモロコシを植えると、家畜飼料を輸入しなくていいそうだ)。
⑦外国人の水源地購入
 水はその価値に比べて、輸送コストがかかりすぎる。そのため、いくら外国人が水源地を購入しても、水を持って帰るわけにはいかない。環境影響さえ考慮すれば、むしろ開発してもらったほうがいい。

 すぐ身の回りにある「水」に関してさえ、私には今まで多くの誤解があった。それ以外の分野でも、多くの勘違いをしているのかもしれない。
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