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眼鏡製造のアキレス腱(2月13日)

 異常・不良処理というのは、バスケットボールでの『リバウンド処理』と同じである

 先日書いたように、眼鏡産地の構造不況が叫ばれて久しい。大手、準大手眼鏡製造企業がつぎつぎ消滅した。残った企業も、順風ではない。
 その眼鏡枠製造業で、製造のアキレス腱になっているのが、表面処理工程である。金属枠は、眼鏡枠の形が出来上がると、その表面にめっきや塗装などの処理を行う。その後、印刷やプラスチックつる、デモレンズなどを装着し仕上げる。

 多くの企業では、この表面処理工程を外注に出している。製造の流れが中断されるため、仕掛品が発生し、生産期間が長くなる。

 じつは、もっと大きな問題がある。
 多品種小ロットになるにつれ、この工程での不良率が異常に高くなってきた。場合によっては、全体の20%近くにもなる。そうなると、ロットが分断され、定数割れが生ずる。

 この不良修正が、大変である。まず表面を、隅から隅まで検査する。完全なものなどあり得ないから、判断基準を理解するのが難しい。修正する場合は、表面をすべて剥離し、磨き直し、再塗装する。数枚ごとにやるのだから、最初の何倍もの手間がかかる。
 その苦労して修正したものが、全部良品とは限らない。賽の河原である。
 この大きなロスは、すべてメーカーの負担である。
                           ファッションメガネ
 この対策として、次のようなことが考えられる。

①不良ゼロを目指す
 原因を明らかにして、それを潰す。正攻法である。
 たとえば、塗装の場合は異物付着不良が多い。作業場をクリーンルームにすれば、不良率は激減する。低コストでクリーン度をあげる工夫がポイントである。

②部分修正する
 修正を施すにしても、全部剥離して磨き直しまですると、完全に採算割れする。たいていの場合、不良個所はほんの一部である。部分修正の技術を確立すれば、修正コストは格段に低下する。
 頑固な経営者は知らなくとも、密かに行っている現場もある。

③アウトレット販売する
 わけあり商品として、あるいは特に表示しないで別売りする。表面処理不良といっても、実用上は全く問題ない。そもそも、よほど注意して見ないとわからないし、普通消費者はそんなわずかのキズなど問題にしない。色違い不良も同じである。

④品質基準を下げる
 少し基準を下げただけで、不良率は劇的に下がる。

⑤適切なネーミングをつけそのまま販売する
 以前ヒョウにあたって傷ついた青森リンゴを、受験生向けに「落ちないリンゴ」として、販売したことがあった。同じことはできないとしても、ネーミング次第では売れるかもしれない。ただ、ものすごいセンスが必要である。

⑥良品だけを高額販売する
 難しい加工で「生き残った」商品は、プレミアムが付く。思い切って、高額で販売する。

 その他にもあるが、こんなことは大抵の経営者は、考えている。それでも、多くの企業は手をこまねいている。
 もちろん、ものごとはそう単純ではない。現実にはいろんな工夫が必要だし、顧客との力関係もある。一つや二つでなく、いろんなものを組み合わせて対応しなければならない。

 しかし儲けている企業は、こうした工夫を重ね、泥臭く「じたばたしながら」コストアップを最小限に抑えている。そこが赤字企業との差である。製造業に限らず、この異常・不良処理というのは、バスケットボールでの『リバウンド処理』に似ている。ストライクを外したときどうするかで、その組織・企業の優劣が決まる。
                                         バスケット選手
 藤本隆宏氏(ものづくり経営センタ長)は、VOICE一月号で、つぎのように述べている。
 「日本と中国など主要新興国の賃金差がある程度縮まったということは、あきらめずに能力構築を続ける『よい現場』が国内で生き残れる可能性が高まったことを意味する。」
 また彼は、すべての製造業にはまだ大いに伸びしろがあるとも言っている。

 彼が言うように、製造現場がこのように、「じたばたと能力構築する」ことによって、地に足の着いた成長が日本で実現するのだと思う。なんといっても製造業だけが、その国の生産性を持続的に向上させていけるからである。
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