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レイプは特別な犯罪か(マイケルサンデルの白熱教室より)(1月24日)

 「レイプは特別な犯罪で女性を破壊してしまう」、という世の中の風潮が、かえって被害者を苦しめる

 インドでの凶悪レイプ犯罪のあと、マイケルサンデルは、同国で「レイプは特別な犯罪か」についての「白熱教室」を行った。
 議論では圧倒的多数の人が、レイプは特別な犯罪であるとし、加害者には厳罰を要求していた。「レイプは、女性を破壊し、尊厳を失わせてしまう。」、「弱者である女性は法律で保護しなければならない」、と言うものである。
 普通に考えたら、そう考えるのは当然であろう。とくに、男性からの意見が多かった。

 これに対し、少数ではあるが、「女性を特別視して欲しくない」、「レイプより、片腕を切り落とされる被害のほうが大きい」と言う意見もあった。この意見を出した2名とも女性であったことは、興味深い(もっとも、男性からは言いにくい微妙な問題なのだが)。
 私自身も、後者の意見に賛同する。

 確かに世の中の空気は、圧倒的に前者の考え方に染まっている。インドで、レイプに対する大規模デモが発生したことからもわかる。「レイプは、女性の人格を破壊し、その人の尊厳を失わせてしまう。永久に立ち直れない」と言うものである。
 被害の甚大さを強調することによって厳罰化をはかり、抑止力にしようとする考え方は、否定できない。

 しかし、このような考え方そのものが、被害者を苦しめるのである。レイプ事件は、加害者と同時に、その被害者も確実に存在する。何千万と言う被害者が、世界中のあちこちに存在している。これからも事件は起こり、被害者は発生する。
 その被害者に対し、「永久に立ち直れない」などと言うレッテルを張ってしまったらどうか。それこそ「永久に立ち直れない」ではないか。

 レイプは確かに憎むべき犯罪である。しかし事件を憎むあまり、被害者の心情に思い至らないことこそが、悲劇を増幅させている。
 善人の単純な思い込みが、真に救わなければならない人々を、地獄に追い込んでいる。


 放送での議論はここまでであり、マイケルサンデルも結論を出していない。
 この場合、将来発生する被害者の立場に立つのか、すでに起こってしまった被害者の立場に立つかで、見解は大きく異なる。これは、臓器移植の場合の「脳死判定」を認めるかどうかの議論と同じである(脳死になった側と、移植を受ける側では意見が違う)。

 このような議論は、はっきりと結論を出せるものではない。そこに日本的な「中庸」の考え方が生まれてくるのである。
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