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農薬入り冷凍食品とリスク(1月4日)

 リスクに関する情報の秘匿は、組織のリスク低減に寄与しないだけでなく、新たに大きな責任が発生する

 昨年の、食品偽装報道が治まったと思ったら、『マルハニチロから農薬入りの冷凍食品が出荷された』という記事が入ってきた。この会社も、回収に動き出したのは、苦情を聞いてから1.5か月もたってからだという。表に出たのは氷山の一角であるが、組織にとっては致命的だ。なぜこんなことが起こるのか。組織はどう対処したらよいのか。

 今回の農薬冷凍食品の場合は、犯罪性が疑われており、これまでの事件とは、性格がやや異なるかもしれない。
 ただ、今の日本では、多くの人が「正直者は、馬鹿を見る」と考えている。まじめに働いた人が報われない時代だと思っている。現にこれまでも、不祥事の内部告発者が、干されてしまった例は多い。必死の中小企業者を痛い目にあわせた銀行が、公的資金で焼け太ったこともあった。天下りや渡り鳥も、相変わらずである。
 そのため、金回りの良い人は、何かずるいことをやって儲けているに違いないと、普通の人は感じている。偽造や不祥事隠しを行ったとしても、組織内にいる人は、それが悪いことだとは考えられなかったのではないか。

 しかし、悪いのは世の中だと言っても、責任を取らなければならないのは、不祥事を起こした組織である。さらに、時代は確実に変わりつつある。市民や消費者として、企業に関心を持つ人が増え、環境や法規制にそむいた行動は、厳しくチェックされるようになっている。また、組織内では共同体意識が薄れ、臭いものに蓋をしておくことはできなくなっている。

 そして、これらの危機は、人為的なものだけではない。安全、衛生、公害など、どのような組織にも数多く存在する。それらを特定・管理し、社会や組織に与える影響を最小限に抑えようとするのが、リスクマネジメントである。

 前にも記したように、リスクマネジメントには、事故や危機がなるべく起きないようにする予防活動と、事故や危機的な状況が発生した後の危機管理活動とがある。
 まず組織は、リスクを顕在化させないための予防処置を講じる必要がある。予防処置が完全に機能した場合、リスクは顕在化しないので社会から注目されることもなく、一般の人は、そのようなリスクがあることさえ、気付くことはない。 本来、これがもっとも望ましい。

 しかし、予防処置がいつも完全であるとは限らない。予見できないリスクが発生する可能性もある。そのような時、危機管理に深い関心を持っているトップは、迅速な対応と情報開示によって、影響を最小限に抑えることができる。

 その場合、次の点が重要である。重要なので、繰り返す。
 ① 異常事態が速やかにトップに伝達されること
 ② 関係者への連絡など、決断と行動のスピード

 これができるためには、内外での効率的なコミュニケーションのしくみと、良好な人間関係が必要である。危機が起こっても、適切な対応さえ取られれば、一時的な業績低下は短期間で回復する。適切な対応を内外から評価され、以前より業績を伸ばすことさえある。
 逆に、対応のわずかな遅れは、影響を拡大させ、社会に大きな損失を与えるだけでなく、組織自体の存在さえ危うくする。

 リスクに関する情報の秘匿は、組織のリスク低減に寄与しないだけでなく、それによって新たな責任が組織に課せられることになる。これまでの事例を見ても明らかである。
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