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産業財産権と企業経営(知財の罠)(12月12日)

 大多数の中小企業にとって、「特許権」は気休めの『お守り』か『宝くじ』である

 少し古いが、特許庁によると、2008年度における特許出願件数は、およそ39万件(実用新案は9400件)。そのうち審査を通って登録された件数は半分以下だが、18万件もある。また、その年度における発明者延べ人数は、全国で77万人。福井県は1750人である。もっとも、弁理士の登録数は、全国で7800人いるのに、福井県では9人しかいない(今はもっと増えているはず)。

 また、特許取得や維持の費用がバカにならない。弁理士を利用しない場合でも、出願料1.5万円、審査請求料20万円(請求項の数による)で、めでたく特許認定された暁には、最初毎年1.6万円から順次上がり、10年目以降は毎年10万円ほど支払う。合計で160万円にもなる。弁理士を活用した場合には、これに30~50万円を上乗せしなくてはならない。
 すなわち、特許権を1つ保持するだけで、200万円以上費用がかかる。

事例(1)(機械製造会社)資本金8500万円、従業員110名、知財担当3名(兼務)
 ・特許出願件数 合計 99(国内)+54(外国)=153件  (2004年度は6件出願)
 ・特許権利件数 合計 35(国内)+29(外国)= 64件   実用新案権利件数=1
 ・知財権により保護された製品の売上合計=約13億円(純利益は不明)
 ・年間の知財に関する費用=約2000万円
                        (特許庁「知財で元気な企業2007」による)

事例(2)(県内A社工具販売)資本金1000万円、従業員2人、売上高1億円、利益▲100万円
 ・特許出願件数 合計 25件  (2004年度は2件出願)
 ・特許権利件数 合計 8件  (うち4件は係争中、他の特許権も額縁に飾ってあるだけ)
 ・知財権により保護された製品の売上高=0
 ・年間の知財に関する費用=約200万円
 ・権利の内容も、類似品を排除できるような強力なものではない。(目的に対する手段は無数)
 
 「知的財産戦略ガイドブック 2006年3月近畿経済産業局」によると、そこにある事例24件のうち、費用対効果のプラスの企業が11社、マイナスの企業が9社、不明が4社であった。
知財が企業にとって、万能ではないことがわかる。

 では、企業は知財をどう考えたらいいか

①知財が効用を発揮するためには、その保護された製品が売上を確保できるかどうか。
②つまり、特許の有効期間(出願から20年)で、もとを取れるか?(実態は、不活性特許が50%以上)
③自社に生産・販売能力がない場合は、他社へのライセンスなどを考える。
④技術内容が他社にわからないような製造方法の場合は、出願しないほうがいい。(他社が特許取得しても、先使用権がある)


 中小企業では、特許権や実用新案は、水戸黄門の『御印籠』だと思っている。しかし本当のところは、気休めの『お守り』程度であろう。あるいはせいぜい、一獲千金を夢見る『宝くじ』ではないか。
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