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肉のスズキ屋(12月5日)

 飯田市遠山郷にある、有名な肉屋である。遠山郷は人口1700人。飯田市から車で1時間以上もかかる。地域には、星野屋という山肉専門の飲食店もあるが、鈴木屋は工場生産と店舗販売である。

 この会社は、羊の肉を中心に、猪、鹿など、あらゆる獣肉を扱っている。そのための最新の加工場を有する。6年前に新築した工場では、従業員25名が、HACCPに準拠した仕組みで働いている。
 たとえば獣体は、皮や内臓を別工場で剥ぎ取り、肉の部分だけを工場に搬入する。もちろん、作業員の手洗い、衣服管理は万全である。工場内部では、外から持ち込まれる包装資材と商品本体(肉)とは区別される。温度管理は厳しく、工場全体が冷蔵庫という位置づけである。
 この工場と設備を、補助金なしで建てた。億単位の投資で、相当な借り入れがあるはずだ。必死にならざるを得ない。

 その工場見学とあわせ、社長ヒアリングを行った。2代目社長も、40代で30年の経験がある。仕入れ~加工、~販売まですべてをこなす社長は、淡々と話す。経験とノウハウ、市場の苦労に裏打ちされた言葉は、新規参入者に対し、辛辣である。
 これまでいろんな地域から、山肉(猪やシカ)の加工販売について問い合わせがあったそうだ。しかし、猪でも捕れたから売れるものではない。素人の自家消費と商品にするのでは、雲泥の違いがある。ほとんどが、辞めたほうがいい案件ばかりだという。
 当社では、鹿肉を解体する場合でも、たいていの部位を使う。1頭当たり35キロは食用にする。業界平均の8キロに比べ、大変な違いである。そういえば、店舗には鹿のペニスや睾丸が、掘り出し物のように販売されていた。命を大切に扱うという信念である。ロースやもも肉しか使わない他の業者は、工夫が足りないそうだ。

 社長は、工場の生産だけでなく、営業面にも直接携わっている。都会のデパートへ出て自ら催事販売も行う。HPをつくって、その管理も行っている。したがって、1日12~16時間の仕事をこなす。

 ただ、あらゆることを自分だけで行うのは大変である。真面目で夜遊びもせず健康そうであるが、個人の力には限界がある。これから社員が増えていけば、なおさらである。その人材育成プランについて、聞けなかったのは残念であった。


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