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頭がいいと言うこと(11月9日)

 いくら頭が良くても、基本事実を間違って認識していたら、意味がない

 高橋洋一氏の著作「数学を知らずに経済を語るな」を面白く読んだ。この本の中で、高橋氏は「頭がいいと言うこと」に関して、次のように述べている。
 「頭が悪いのと根気がないのって、ほとんど一緒だけど・・。」、「壁にぶち当たったところで、匙を投げるか、必死に食らいつくか。そこの違いが大きいんだよ。いつでも匙を投げてしまうと、物事を持続的に考える力が育たないから、考える力そのものがなえちゃうよ。・・・」、「・・・深く考えて、自分の頭でスーッと展開できるようになると、すごく早く処理できるようになるんだけどね。・・・・頭の中にそういう回路をつくっていく感じなんだよな。・・・」

 すなわち頭が良い人とは、根気よく物事を考えることのできる人だという。なるほど、と思う。

 そうはいっても、はた目からは、苦労しないで次々と面白いアイデアを出す人がいる。また、深く考えるためには、そのベースとなる事柄を記憶していなければならない。素養として優れた記憶力は必要なはずである。
 そして、考えるための出発点、事実認識が正しくなければならない。
 これは高橋氏の言う、数学的な「頭のよさ」とは違う。

 たとえば、「頭がいい」はずの高橋氏の、この著書のなかで、次のところはいただけなかった。
 3.11原発事故後の対応で、政府や東電は、CTスキャンやレントゲンの値をもとに、放射線被ばく量の安全性を論じていた。これを批判して高橋氏は、「放射線被ばく量での数値で最も重要なのは、累積値なのに、時間当たりの数字しか発表されなかった。」と述べている。

 しかしこれは、高橋氏の明らかな間違いで、「放射線被ばく量での数値で最も重要なのは、時間当たりの線量」なのである。
 これまで説明してきたように、放射線でわずかにDNAが破壊されても、人間には素晴らしい回復力があり、時間がたてばもとに戻る。年間均して100㎜Sv程度(人によってはその10倍)の放射線を浴びても、通常生活で発生する活性酸素の1/100程度しか、DNAは破壊されない。こんなものは、誤差の範囲である。
 ところが、100㎜Svの放射線を短時間(数秒)で浴びてしまうと、DNAが修復不可能に至るまで破壊され、障害が発生する場合がある。

 高橋氏ともあろう人が、24年1月〈著書発行日〉の段階で、放射線に関するこんな初歩的なことを誤解していたとは驚きである(さすがに、今はもう誤解が解けているとは思うが)。大多数の国民が、放射線パニック・原発ヒステリーになるはずだ。
 いくら数式や数字を操るのに長けていても、一つ一つの事実を誤認していたのでは、話にならない。
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