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女性用レギンスと男性パンツ(11月7日)

 越前市の(株)ファインモードが作った、i+Fリバーシブルレギンスが売れている

 当社は平成18年に創業の中小企業である。おもに大手繊維会社のOEM・委託により、アパレル製品の裁断から縫製加工を行っている。
 この会社は最近、特徴あるレギンス商品を開発し、注目を浴びている。
 レギンスとは足首までの女性用タイツのことで、多くの女性が身に着けている。ただ、ユーザーにとっての問題点は多い。そこで、当社の縫製技術、提携先の編技術や地域デザイナーの力を活かせれば、既存商品の問題点を解決し、この分野でも新しい商品を提供することができると考えた。

 じつはこの会社は最初、レギンスではなく、特殊なデザインの男性用インナー(下着)を開発していたのである。これは、従来の男性用下着のイメージを一新した商品である。下着パンツのまま外出が可能という、すぐれもの?である。日本中に何人かは欲しい人がいるだろう。
 この商品の開発・販売について、ある商工会議所の指導員を通して、相談を受けた。

                  赤パンツ
 
 だがそんなもの??を、事業として成り立たせるのは難しい。
 このようなマニアックな商品を事業化するということは、特殊で新しい市場を作り上げることになる。販促コストは膨大で、販売方法についても適切な支援者がいない。当社のような中小企業にとって大きな負担であり、リスクも甚大である。

 まともにやるなら、圧倒的に需要多い女性向けの商品を狙うべきであろう。しかし、男性ホルモンたっぷりのオトコ社長は、女性が何を求めているかなど、わかるはずがない。相談を受けた我々も同じである。

 それでも男性用の商品なら、多少なりとも薀蓄がある。そこで、当社の開発したマニアック商品について散々ケチをつけ、アレコレ小田原評定を行っていた。不特定の男性に対し、いくらマニアックな商品をつくっても、まともに売れるはずがない。それはわかっていたが、何を売ったらいいのか思いつかなかったからである。
 まさに闇夜のなかを、乏しい灯りだけで、失せ物探しをしているのと同じであった。

 これではらちが明かないので、地元の女性デザイナーと、中小機構の女性コーディネータに、ご登場願う。
 やはり、女性である。我々おっさんたちが、一生懸命練り上げた男性用下着には、一瞥もせず、あっという間に、女性用レギンスの開発に、方針が大転換してしまった。

 素早い転換であった。2人のうちどちらが先に言い出したかわからない。たぶん「普通の」女性が入れば、たいていそうなるのであろう。
 女性でないと、レギンスは思いつかない。タイツ、ストッキング、スパッツ、パンツとの区別すらつかない男に、レギンスというジャンルなど、思いつくわけがない。思いつくというより、そもそも全く知らなかったのである。

 そこから、レギンス商品の開発が始まった。
 
                レギンス黒

 もともと本事業の目的は、繊維の産地である福井で、新しい価値の繊維製品を、独自のブランドとして市場に出すことであった。そのため当社では、まずこのレギンスに力を注ぐことにした。こうなれば、産地の繊維ブランド商品として市場が注目するだけでなく、産地としての総合力が高められるはずである。
 もちろんその裏には、会社の利益、金儲けがかかっている。

 この新商品の特長は、次のとおりである。

①機能性のある素材と縫製技術を活かす
 県内繊維会社と共同開発した素材生地は、柔らかくて伸縮性に富み、肌当たりがよいなど、直接肌に接する衣類に適している。また世界で数少ない編立機で作られ、編立にもかかわらず幅広い柄・模様が表現できる。
 この生地を、売れる商品にしたい。そもそもの、商品開発のとっかかりでもあった。

②新しいレギンス商品の提案
 1)これまでのレギンス商品の問題は、次のようなものであった
  ・織製品 長所;自在なプリントによる、幅広い色・柄・模様が可能
       短所;伸縮性に乏しく、膝が出るなど型崩れしやすい
  ・編立品  長所;フィット感にすぐれ、伸縮性があるため型崩れしにくい
        短所;プリントができないため、柄・模様に制限があった
         ほどけやすい(カットしての長さ調節ができない、伝線しやすい)
 すなわちこれまでは、フィット感にすぐれる編み生地には、織り生地のように自在に柄・模様を施すことができなかった。

 また、参加した女性デザイナーは、従来品はウエストゴムが強く、肌に跡がつくという問題点を指摘した。まさか脱いだ時のことまで考えるとは、体験豊富なまさに女性目線である。脱がせた経験のない男どもには、とても想像できない(経験があったとしても、ウェストなどは目もくれない)。

 そこで、これらの既存商品の問題点を解消するため、以下のような商品を開発した。

 2)当社レギンス商品の特長
  ≪従来商品の問題点を補うもの≫
  ・編立品であるにもかかわらず、幅広い柄・模様が可能で、自由度が大きい
  ・編立生地ながら、カットしてもほどけることがない(長さを調整できる、伝線しない)
  ・ウエストゴムをなくし、全体で締める構造とする(跡がつかない、脱いでもきれい)
  ≪その他の特長≫
  ・リバーシブル(両面使用可能)な商品製造が可能である
  ・消臭効果がある(ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンそれぞれの消臭機能)
  ・多様で幅広い着色が可能
  ・2重構造柄と表裏別色のコラボ効果による、独特で絶妙な配色
  ・美脚をアピールするデザイン(模様、色、形状の工夫)
  ・イメージ統一によるブランド化(これまでレギンス単独でのブランド商品はなかった)
  ・1つのデザインでの編立100枚程度の、小ロット生産(多くの品揃えが可能)

  すなわち、編立品のためフィット感がよく、型崩れしにくい。そのうえファッショナブルである。
  この特徴を活かすためのデザイン開発も、きわめて重要であった。

③地元の優秀なファッションデザイナーの活用
 今回の商品開発で、最も重要なデザイン開発を担当するのは、地元の若手女性デザイナー氏である。ニューヨークでオリジナルアーティスト、テキスタイルデザイナーとして活躍され、2008年からは越前市に事務所を構え、フリーのデザイナーとして、各種の商品開発を手掛け、多くのヒット商品を生み出している。
 彼女を活用して本商品の開発に成功すれば、本開発商品や当社のブランドイメージだけでなく、彼女のデザイナーとしての力量と知名度が、さらに向上する。そうなれば、今後の越前市における当社以外の企業の商品開発も、弾みがつく。

 このようにして、当社の商品開発が始まった。
 これまで、FBCやケーブルテレビ、会報誌などで何度も紹介され、地元では有名になった。いろんな展示会にも参加。9月には、参加の敷居が高いとされるアッシュ・ペー・フランス主催の合同展示会「rooms(ルームス)」に出展し、好評を得ている。

 顧客は、もちろん女性であるが、まだ年代は固まっていない。展示会では、80歳の高齢者から小学生まで幅広い層に興味をもたれ、買い求められた。今後のデザインの方向で、ターゲット層も絞られていくであろう。

          ひよっとこ   赤パンツ   薔薇族
                                          
 ちなみに、社長が執念深く開発している男性用下着は、いろんな人に見せても、あまり評判がよろしくない。それでも性懲りなく、機会あるごとにバイヤーに声をかけ、断られてはしょげ返っている。
 でも私自身は、それほど捨てたものではないと思っている。身に着けてみれば、わかる。
  誰か、買いたい人はいないでしょうか?            
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