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静脈産業(10月30日)

 現代社会の大きな矛盾は、大切な仕事をしている人ほど、待遇が悪いということである

 居酒屋で、一杯飲ったとしよう。4人なら、まずジョッキでビール4杯。つぎに枝豆2皿、腹をすかしているところに、刺身盛り合わせ2皿、焼き鳥5本づつが2皿、ここまではいい。その後、泥鰌の空揚げ1皿、ぶりカマ2皿、生野菜、漬物、ビールのお代わり、日本酒の徳利に杯、さんまの塩焼き、野菜の天婦羅・・・と、つぎつぎに運ばれる。

 そのとき、それぞれの皿をきちんと始末していないと、大変なことになる。テーブルの上が、ワヤクソになるのだ。前の皿が中途半端に残っていると下げられないし、新しい料理がテーブルの隅っこに乗っかり、下手すると落っこちる。日本酒の徳利が行方不明になる。
 使った後の皿をいかに迅速に片づけるかによって、食事の爽快さが左右される。飲食店にとっても、片付ける速さは、売上に大きく影響する。わざと小さいテーブルを置いて、回転率を上げようとするところもあるくらいだ。
                              ゴミ袋

 企業活動や生活で排出した不要物を集め、それを社会や自然の物質循環過程に、再投入するための事業を行っている産業を、静脈産業と呼ぶ。この静脈産業は、廃棄物処理の延長線上に捉える場面が多く、なかには胡散臭い組織もあったことから、一般にあまり重要視されていない。
 居酒屋の例でも、後片付けや皿洗いをする人は、料理人の中でも下層にみられている。

 ところが、この「静脈活動」が滞ると、世の中はうまく回らない。頑固な便秘になったようなものである。身近なところでは、先ほどの居酒屋のテーブル。生活面では、ごみ処理、下水道など。国全体では、原発廃棄物の処理が大きな問題である。
 これらは限度を超えると、それこそ人間の生存を脅かす。これまで自然の浄化作用が賄ってくれたことを、人間がやらなければならない。これからは、そんな難しいことができる人を重視し、育てなければならない。

 これは、IPSや宇宙開発などの先端技術、マスコミ職員の仕事などより、はるかに重要だと思う。現代社会の大きな矛盾は、大切な仕事をしている人ほど、待遇が悪いということである。
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