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SWOT分析の限界(10月11日)

 SWOT分析は決して、万能ではない。組織人知の結集、アイデアの整頓、経営戦略を確認するためのツールとして用いるのがいい

 「SWOT分析」は、組織の内部、外部の実情を把握し、そこから何をするかという、組織の戦略を導くためのツールである。すなわち、内部環境つまりその組織の持っている「強み(S)」、「弱点(W)」、外部環境における「機会(O)」、「脅威(T)」を導くことから始まる。

 手順はつぎに、この4つの組み合わせを睨んで、組織の在り方を探す。
 たとえば、
①「強み(S)」×「機会(O)」
 ・組織の強みと機会を利用して、積極的に攻める。拡大戦略である。
②「強み(S)」×「脅威(T)」
 ・強みで、脅威に対抗する。強みを徹底して生かす。
③「弱点(W)」×「機会(O)」
 ・弱点を補完して機会をとらえる。提携や不足人材の採用など。
④「弱点(W)」×「脅威(T)」
 ・組織の弱みを突かれないように、徹底して守る。ロスの削減、コストダウンなど。

 多くの組織は、この段階で挫折する。
 なぜならこれは、あくまでもツールである。組織にとっての「SWOT」は、時期や考え方によって変化する。ものすごく、柔軟な発想が必要だからである。

 具体例を挙げて、SWOT分析を適用してみよう。
 先日、楠木健氏(一橋大教授)のH(ハゲ)に対する戦略を紹介した(ハゲ頭の攻略法)。そこで彼は、H=ハゲに対する「防御」のための戦いをすっぱりとやめ、「攻撃」に切り替え成功した。結果的かもしれないが、楠木氏は、ご自身の頭の形がまんざらでもない、ということに着目した。
 すなわち、②「強み(S)=頭の形がいい」×「脅威(T)=押し寄せるH(禿げ)」、から導かれる戦略は、「強みで、脅威に対抗する。強みを徹底して生かす」ということであった。その具体的な戦術・方法が、バリカンですっぱりと、髪を剃ってしまうことであった。

 じつは、楠木氏はもう一つ、Dについても秀逸な戦略をとって、成功を収めた。Dとは、「デブ」すなわち下腹のでっぱりに対抗しての、みごとな戦略である。これを紹介しよう。
 彼は、トレーニングジムに通っていた。これを彼の「強み(S)」とみた。
そこで、②「強み(S)=ジム通い」×「脅威(T)=押し寄せるD(下腹デブ)」、となる。そこから、
 「強みで、脅威に対抗する。強みを徹底して生かす」ために、ジム通いによって上半身を大きくし、D(下腹デブ)を、目立たなくしてしまった。


 しかしこれは、どう見ても(筆者の)あとづけ、こじつけである。第一、H(ハゲ)やD(デブ)を、「脅威」とみるか「弱点」とみるかでずいぶん違う。「弱点」とみると、「弱点を補完する」ために、無駄な努力を続ける羽目になっていたかもしれない(それもいいかも)。
 したがって、SWOT分析を使って戦略を練る場合でも、組み合わせや考え方によって、まったく逆の結論が導かれる。

 SWOT分析は決して万能ではない。ただ、組織内の人知を結集しアイデアを整理・整頓するため、或いは、組織の経営戦略の正当性を確認するためには、格好のツールであろう。それを活かすのはまさしく、柔軟な発想をもった人材なのである。

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