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ハゲ頭の攻略法(10月10日)

 戦略では、攻撃ばかりではうまくいかないし、防御ばかりでもよくない、敵の出方に応じて、押したり引いたり臨機応変に対応する

 「攻撃は最大の防御」という経営戦略がある。これについて、楠木健氏(一橋大教授)は、著書『経営センスの論理』のなかで、自身のH(ハゲ)対策になぞらえ、つぎのように述べている。(この本には、経営戦略の肝がいくつか記してある。若い経営者や診断士は、ぜひ読んでいただきたい。)

≪前略・・・ H攻撃が始まった当初の私設参謀本部(僕の脳内にある重要問題を扱う部署)の戦略は、ご多分に漏れず防御であった。洗髪のときにマッサージしてみたり、それまでわりと短かった髪を伸ばしてみたり、・・・・略・・・・・それでも通常兵器に限定して一通りの防御はやってみた。
 しかし、どうにもならないものはどうしようもない。H攻撃は粛々と進行してきた。攻撃開始に気づいてから1年ぐらいたつと、もはや絶対防衛線も危うくなり、いよいよ本土決戦(頭頂部のHと額から北上してくるHが結合する状態)も間近と思われた。
 ある朝のことだ、いつものように鏡の前で整髪していたそのとき、「攻撃は最大の防御」という古来の格言が天啓のように降ってきた。・・中略・・即座に整髪作業を中止した僕は、近所の電気店に急行し、電気バリカンを購入。帰宅すると即座にパンツ1丁で庭に出て、3ミリのアタッチメントをバリカンに装着し、頭髪を丸刈りにした。
 鏡で自分を見てみると、そこにはわりと別人の僕がいた。文字通りのハゲ頭。いうまでもなくH問題は解決していない。それどころか、かえって悪化しているともいえる。ところが妙に気分爽快であった。追いつめられていた気分になっていたHとの戦いに、一気に逆転勝利を収めた気がした。
   ・・・後略・・・≫

 すなわち楠木氏は、これまで悪戦苦闘していた、H=ハゲに対する「防御」のための戦いをすっぱりと止め、「攻撃」に切り替え、成功したのだ。
                  光る太陽

 ただ察するところ、最初は「攻撃」というよりも、やけくその「焦土作戦」だったのではないか。それが、たまたまうまくいったので、「攻撃は最大の防御」という後付の理屈で、自らの経営指南書に書き加えた、というのが真相ではないかと思うのだ。
 楠木氏は、もともと「頭の形」が良かったから、この作戦が成功した。

 それでは、「頭の形」の悪い人はどうするか。粉飾決算で当面をしのぐ。つまり「カツラ」である。しかしこれは、ばれたときの代償が高くつく。またいったん始めたら、なかなか止められない。(いい加減あきらめることも作戦のうちだと思うが、)普通の人は、騙し騙し一生を終え、つまらない人生を送る。

 これを企業経営に当てはめてみる。H(ハゲ)が進んだ頭というのは、売れない製品ばかり作る、製造業のようなものである。いくら努力しても売れない。そこで思い切って、工場を取っ払い、更地にして売却する。事業所単位では、いい作戦かもしれない。
 これも、値打ちのある土地ならいいが、僻地でしかも土壌汚染まみれの土地だったら、売るどころではない。修復に、目玉の飛び出るお金がいる。では玉砕覚悟で、遊園地にしようか。この場合、「攻撃」戦略は、いかにもリスクが大きい。

 すなわち戦略では、防御ばかりではうまくいかないし、やみくもな攻撃でもよろしくない。ここでは、敵の出方に応じて、押したり引いたり臨機応変に対応すべし、という当たり前の教訓が得られるのである。

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