FC2ブログ
RSS

高齢者の起業(10月5日)

 地域の老舗企業の社長T氏(63歳)が退任し、新しく起業したいという。
 事業のシーズ(技術や製品)はあっても、マーケティングについてはあまり経験がない。また、できれば公的な金融支援を受けたいということであった。


【独立に至る経緯】
 起業を希望しているT氏は、それまで地元中堅織物会社の代表として企業を支えてきた。その会社ではT氏が中心となり、和紙と繊維を組み合わせた「漉き織製品」の開発に力を入れていた。
 この製品開発が一段落したことと、T氏の後継の経営者(45歳の甥)が育ってきたことを潮時に、長年尽くしてきた織物会社を退社、独立することにした。T氏はまだ63歳。経営は後継者に譲ったとしても、会社に残れば何らかの影響力を行使することになる。後継者が存分に力を発揮することができないし、会社のトップが複数では社員も戸惑う。
 そこで、「漉き織製品」の事業権のみ、T氏の新会社に移行し、その他の権限はすべて後継者に委譲する。新会社では、氏自身が温めてきた「漉き織製品」の事業化を基本に、新しい体制をつくることにしたのである。

【支援とその後の事業展開】
 事業は、これまで開発してきた「漉き織製品」の用途開発と販路開拓である。具体的には、結婚式場を対象に「白無垢」や「ウェディングドレス」を売り込みたい。
 そこで、マーケティングの専門家を紹介し、商品のコンセプトを明確にするとともに、ロゴマークの設定、ストーリーを含めたウェブサイト、パンフレット設定など、販路開拓に向けた方向性を定めた。また、県の「逸品ファンド」に申請し、販促のための費用の一部を調達することにした。
 このように、具体的に行動を起こすことによって、まだ起業して実質半年にも満たないが、すでに数百万円の売り上げを挙げている。

【新しい販路の開拓】
 そして最近、思いがけない分野からの引き合いが入った。高齢のT氏にふさわしい、「葬儀」関連の衣装(死装束など)である。これまで、ユーザーの嗜好を重視してきたブライダル商品より、葬儀会社の意向が重要視される商品である。全国の業界に定着すれば、大ブレイクする可能性もある。
 氏は、「倫理研究会」の幹部役員として、県内に300人以上の人脈を有している。今回の引き合いは、この人脈の中から生まれてきたものである。これも人生の積み重ねによる財産のひとつで、高齢者の多くが有している「強み」である。

【老人力を活かす】
 しかし、T氏は、あわてない。もし葬儀関連で大口需要が期待され、大量生産するためには、数千万円の設備投資が必要となる。波及して需要が定着するかどうか、大きなリスクである。それよりは、「老人力」を活かし、のらりくらりじっくりと、現実をこなしていきたい。
 高齢者が起こす事業の、一つの方向であろう。

 関連記事
 http://abegorou.blog.fc2.com/blog-entry-257.html
スポンサーサイト



トラックバック
トラックバック送信先 :