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3Dプリンタの限界「量産試作」(9月27日)

 3Dプリンタではできない「ユーザー評価のための試作」製品を提供する事業がおもしろい

 新製品を作る場合、いきなり量産するわけにはいかない。まず、形を作って試す。すなわち、「試作」がきわめて重要である。その強力な助っ人が「3Dプリンタ」である。
 3Dプリンタは、まずアイデアを形にして、それが想定通りかどうかを試すのには、絶好の機械である。(3Dプリンタと試作

 じつは、その製品を市場に出すためには、つぎに手強い谷が待っている。「商品化」に至る「死の谷」である。いくらその品物がうまく機能したとしても、消費者に受け入れられなければ意味がない。実際に使ってみれば、思いもよらない問題が必ず発生する。ライバル商品とも比較される。従って、実際のユーザーにその製品を供与して問題点と改善策を明らかにし、修正する必要がある。量産するときの問題点もチェックしておきたい。
 この評価の段階を疎かにすれば、市場に出してから、奈落の谷底に落ちる羽目になる。

 それを防ぐため必要なのが「量産試作」である。本格的な生産に入る前に、50~100個を製作して多くのユーザーに使ってもらい、求評・モニタリングを行う。たいてい、そこで修正が入る。これは3Dプリンタではできない。数個以上を作ろうとすると、あまりにも時間とコストがかかりすぎるからだ。さらに3Dプリンタは、実際の商品と同じ材料を使うことができないため、強度などの性能や、使い勝手を評価することが難しい。

 この課題を解消するため、越前市の(株)H金型は、従来高価だと思われていたプラスチック成型金型の構造を工夫し、50~100個程度の中量プラスチック製品を、きわめて安価につくる方法を開発した。
 従来、量産用の金型は、1型少なくとも、数十万円から高価なものは1000万円にもなる。製品を何万個も作る場合には、威力を発揮するが、50個~100個では、きわめてコストアップになってしまう。

 そこでこの会社は、金型の構造や材質を工夫し、従来の1/10以下のコストでの金型製造を可能にした。そうすれば、成型する製品の1個当たりコストも安価になる。1~2個作るぐらいでは3Dプリンタに軍配が上がったとしても、50個、100個となると圧倒的に有利である。
 この金型で何万という量産はできないが、市場のモニタリングに使用するための、100個程度の中量生産には、存分に威力を発揮する。さらに、(プラスチックでできた商品の場合)量産品と同じ材質で成型できるため、機能面での評価も正確にできる。この試みは、県内では初めてである。

 (株)H金型は、この事業を開始したばかりであるが、すでに何件かの受注をこなしている。3Dプリンタで金型を製造する方法も模索中である。
 ただ勘違いして、従来の金型を安価に製造するのだと思って、金型を発注するお客もいる。そこはきっちりと、簡易金型としての区別をつけておかなければならない。中途半端では、かえって本業の金型事業の足を引っ張ってしまうからだ。
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