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半沢直樹(9月24日)

 ドラマ制作者の何倍も世の中を見ている高齢者にとって、白々しさが鼻につきだしたらおわりである
 
 「半沢直樹」は、バブル末期に大手都市銀行に入った半沢直樹が、さまざまな人間や組織の圧力と戦うシリーズ小説を、TVドラマ化したものである。日曜夜9時の放送ということもあって、40%もの視聴率を稼いで評判になった。先日10回シリーズが終了したが、大詰めに大きなドンデン返しがあった。
 
 このドラマは、なぜ受けたのだろうか。
 芝居がかった大仰なせりふ回し、期待を裏切らない勧善懲悪、実際の銀行業務を彷彿とさせるような人事や業務内容(かなり大げさではあるが)で、自分ができないことを半沢直樹に託して、ドラマを観た人が多かったのではないか。
 筆者も、最後の2回分だけであるが、面白く拝観させてもらった。

 ところで筆者はこれまで、あまり映画やドラマを、面白いとは感じなかった。いつも何か白々しい思いがするからである。どういうことか。

①登場人物の行動に必然性が無い。なぜそのような行動をとるのかわからない。
 典型的なのは、「半落ち」である。これは、警官である主人公が、自分が骨髄を提供した相手を世間から隠すために、自分や組織を窮地に陥れようとする。これが、このドラマの核心部分である。
 ところが、筆者(だけかも)には、なぜそれほどまでにして提供相手を隠さなければならないか、さっぱりわからなかった(しかも刑務所に入って、また骨髄提供しようとする。いざとなれば、報道協定があるではないか)。これがわからないから、ドラマの肝心な部分が、(筆者には)ボケてしまったのである。

②偶然起こることが多すぎる
 ミステリードラマでよくあるのは、もみ合っているうちに階段から転げ落ちて死んでしまうことである。或いは、ついそこにあった花瓶で殴りつけ、死んでしまうのだ。こんなにホイホイと人が死ぬなら、高齢問題などとっくに片付いているのだが。

③最後に、白々しい「人道的な」お説教が入る
 これもミステリードラマでは、最後に主人公が、観念した犯人に「青臭い」説教を垂れる。犯人は、自分の犯行を悔い改めて自首する。という、あまりにも見え透いた筋書きが多い。

④登場人物の名前がよくわからない
 短期記憶の無くなった我々高齢者が、短い時間で顔と名前を一致させるのは、至難の業である。とくに、外国ドラマはいけない。みんな同じような顔に見え、よく似た名前がつぎつぎ出てくる。
 「LAW & ORDER」は面白いが、よほど頭の回転を良くしないと、ついていけない。

 以上、これは高齢者から見たドラマの欠点である。逆に高齢者向けのドラマを作るには、この欠点を排除すれば受けるかもしれない。

 ちなみに「半沢直樹」もこの「欠点」を内包していた(全部観た人は違うというかもしれないが)。

①25年前の怨念を、ここまで引き連れるのか。そもそも父親は、自殺する必要があったのか。
 それに、大銀行という組織では、「出向」は、そんなに忌み嫌われるのか、「本社勤務」が、それほど居心地がいいのかは、(中小企業を渡り歩いたあげく自営している)筆者には、理解できない。

②外国の大ホテルと好条件で提携できたことや、半沢の妻が「偶然」に岸川部長の娘と黒埼の婚姻を知ったこと。(それだけ網を広げていた努力の結果かもしれないが、現実はあまり努力は報われないのだ。)

③最後の取締役会で半沢が、銀行員としての「良心」を講釈し、追いつめられた岸川部長が「改心した」ことである。

 もちろん、いいところは多い。最初記述した点に加え、

④登場人物は、悪相・善相バラエティーに富んでいて、わかりやすかった。

 ドラマだ、と言ってしまえばそれまでである。だが、ドラマを制作する人の何倍も世の中を見ている高齢者にとって、白々しさが鼻につきだしたらおしまいである(べつに高齢者に観てもらう必要はないけど)。
 10回で終わって、ちょうどよかったのではないか。
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