知の進化論(書評)
知識量が膨大になるにつれ、ビッグデータを独占できる限られた企業に富が集中する
野口悠紀男氏の「知の進化論(朝日新書)」は、知識の価値を高めるための、歴史的な推移について考察している。近年の情報産業の実態やAI,その未来予測にまで言及しており、なるほどと思うところが多い。
おおまかな内容は、以下の通り。
①むかし、ギルド(専門集団)や教会は、知識や聖書の中身を独占していた
②そのために、ラテン語などあえて一般人が疎遠な伝達法を使っていた
③15世紀に発明された活版印刷技術によって、知識の拡散が容易にできるようになった
④知識や情報と、一般の財やサービスは、「排除可能性」と「限界費用」の点で異なる
(この書では、「知識」は体系的、「情報」は断片的なものとして区別)
⑤印刷革命後でも、知識は体系化することで、大学などが独占しようとしていた
⑥18世紀、事項をアルファベット順に並べる百科事典の出現が、知識を万人のものにした
⑦体系的学問は上から下(プッシュ式)で、百科事典は下から上(プル式)学問である
⑧20世紀にインタネットが登場することで、通信コストが地球規模で低下した
⑨Gmail、ブログ、SNS,グーグルマップ、Youtubeなどの新サービスが続々出現
⑩情報伝達コストの低下とともに、情報の供給者が飛躍的に増加した

⑪グーグルアースやストリートビューなどの公開情報が利用され価値が増幅する
⑫1990年代から、検索の方法の模索と進展がはじまる
⑬検索結果を表示される順位は、上位でなければ存在しないのと同じ
⑭みんなの意見は正しい場合が多い。ただしばしばバブルが生じる
⑮ITの進展によって、百科事典の下から上(プル式)学習の効率はすさまじく向上
⑯テストは、コピペやカンニングしても能力差がつくような問題にすべし
⑰SNSの栄華盛衰が激しいのは、ネットワーク効果(会員が増えれば価値が上がる)
⑱市場型のメッセージより、SNSは4倍、頻繁交流する人から8倍のインセンティブ
⑲知識や情報は対価を払わないものを排除することが難しい
⑳日本企業は技術を秘匿。オープンイノベーション企業に後れを取りつつある
㉑書店は、販売数が減る→新刊本を増やす→店頭時間が減る→返品増、という悪循環
㉒そのため本は、センセーショナルで刹那的な質の低下で読者離れ
㉓紙の本、電子書籍、WEB上の文書はそれぞれ別の役割を有している
㉔AIを使うビジネスになると、ビッグデータを集めている少数企業の独壇場
㉕AIが進展しても、人間の喜びの一つは知識や情報を得ること

かって、知識は独占することで、一部の者が富を独占することができた。それが解放されるとともに、一般にも知識と富が分配されてきた。
だが分配は長く続かない。
世の中の知識量が膨大になるにつれ、AIに向けてのビッグデータを独占できる限られた企業に富が集中するようになった。
日本人や日本企業が、この牙城を崩すのは並大抵のことではない。
知識や情報量は、個別の学者や企業の手に負えるものではなくなっている。従来型の知識体系そのものが成り立たなくなったのである。
だが、学術会議任命問題で明らかなように、いまでも学術専門家は「知識体系」を独占することで、既得権益を維持しようとしている。膨大な知識の断片を寄せ集め、無理やり自らの専門分野の体系に閉じ込めることに汲々としている。
このような学者に、日本の命運を託すわけにはいかない。
いったいわれわれは、どうすればいいのか。
そして、この知識社会でどのように生きるのか考え(あきらめ?)させるのが、「言ってはいけない」「もっと言ってはいけない」(橘玲著)である。
野口悠紀男氏の「知の進化論(朝日新書)」は、知識の価値を高めるための、歴史的な推移について考察している。近年の情報産業の実態やAI,その未来予測にまで言及しており、なるほどと思うところが多い。
おおまかな内容は、以下の通り。
①むかし、ギルド(専門集団)や教会は、知識や聖書の中身を独占していた
②そのために、ラテン語などあえて一般人が疎遠な伝達法を使っていた
③15世紀に発明された活版印刷技術によって、知識の拡散が容易にできるようになった
④知識や情報と、一般の財やサービスは、「排除可能性」と「限界費用」の点で異なる
(この書では、「知識」は体系的、「情報」は断片的なものとして区別)
⑤印刷革命後でも、知識は体系化することで、大学などが独占しようとしていた
⑥18世紀、事項をアルファベット順に並べる百科事典の出現が、知識を万人のものにした
⑦体系的学問は上から下(プッシュ式)で、百科事典は下から上(プル式)学問である
⑧20世紀にインタネットが登場することで、通信コストが地球規模で低下した
⑨Gmail、ブログ、SNS,グーグルマップ、Youtubeなどの新サービスが続々出現
⑩情報伝達コストの低下とともに、情報の供給者が飛躍的に増加した

⑪グーグルアースやストリートビューなどの公開情報が利用され価値が増幅する
⑫1990年代から、検索の方法の模索と進展がはじまる
⑬検索結果を表示される順位は、上位でなければ存在しないのと同じ
⑭みんなの意見は正しい場合が多い。ただしばしばバブルが生じる
⑮ITの進展によって、百科事典の下から上(プル式)学習の効率はすさまじく向上
⑯テストは、コピペやカンニングしても能力差がつくような問題にすべし
⑰SNSの栄華盛衰が激しいのは、ネットワーク効果(会員が増えれば価値が上がる)
⑱市場型のメッセージより、SNSは4倍、頻繁交流する人から8倍のインセンティブ
⑲知識や情報は対価を払わないものを排除することが難しい
⑳日本企業は技術を秘匿。オープンイノベーション企業に後れを取りつつある
㉑書店は、販売数が減る→新刊本を増やす→店頭時間が減る→返品増、という悪循環
㉒そのため本は、センセーショナルで刹那的な質の低下で読者離れ
㉓紙の本、電子書籍、WEB上の文書はそれぞれ別の役割を有している
㉔AIを使うビジネスになると、ビッグデータを集めている少数企業の独壇場
㉕AIが進展しても、人間の喜びの一つは知識や情報を得ること

かって、知識は独占することで、一部の者が富を独占することができた。それが解放されるとともに、一般にも知識と富が分配されてきた。
だが分配は長く続かない。
世の中の知識量が膨大になるにつれ、AIに向けてのビッグデータを独占できる限られた企業に富が集中するようになった。
日本人や日本企業が、この牙城を崩すのは並大抵のことではない。
知識や情報量は、個別の学者や企業の手に負えるものではなくなっている。従来型の知識体系そのものが成り立たなくなったのである。
だが、学術会議任命問題で明らかなように、いまでも学術専門家は「知識体系」を独占することで、既得権益を維持しようとしている。膨大な知識の断片を寄せ集め、無理やり自らの専門分野の体系に閉じ込めることに汲々としている。
このような学者に、日本の命運を託すわけにはいかない。
いったいわれわれは、どうすればいいのか。
そして、この知識社会でどのように生きるのか考え(あきらめ?)させるのが、「言ってはいけない」「もっと言ってはいけない」(橘玲著)である。
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