FC2ブログ
RSS

学術会議の原子力への姿勢

 「原子力に関する人材の育成を図るべき」という、2017年9月12日の提言を具体化すべき

 先月、電源地域振興センター主催で、原発80年延長についての、オンラインシンポジウムを聴いた。参加は関電の担当重役と、専門家の東大大学院教授山口彰氏である。
 内容は主題の通り、現在稼働中の原発運転延長に向けての取り組みであった。
 講演の中身や視聴者の質問は、想定される津波被害や圧力容器の強度など、ほぼ現状における原発の安全性に集中していた。

 私自身は、山口氏が2050年の温暖化ガス排出ゼロに向けて、原発の役割を学術会議がどうとらえているかについて言及していたことに注目した。だがそこでは、(原発推進は)技術的に可能だが社会的には難しいという、なんとも曖昧な提言がなされていたという。

               原子炉格納容器 R1.12.07

 具体的に学術会議では、どのような提言がなされているのか。
 WEBサイトを見ると、ことし(2020年)は9月30日までに、67件もの提言がなされていた。その中で、原子力に関する提言は二つ。「原子力安全規制の課題とあるべき姿」(6.30)と「長期の温室効果ガス大幅排出削減に向けたイノベーションの加速」(5.12)である。
 このうち前者は、規制の在り方の提言で、とても前向きなものとは言えない。

 後者の長々とした提言文を眺めても、原子力に関する文言はわずか2か所だけである。
 一つは、「2. 再生可能エネルギーの導入進展と主力化への課題」において、「特に原子力 は社会的側面での課題は多く、気候変動対応以外の側面を十分に踏まえた対応が必要である」
 もう一つは、「4(1)SDGs 同時達成のための低廉かつ低炭素なエネルギーの重要性」の中。候補となる技術分野として、次世代太陽光発電、次世代地熱発電、次世代蓄電池、モビ リティの電動化・水素化、CO2ニュートラル燃料、革新的製造プロセス、省エネ、VPP 等 のエネルギーマネージメント、CCUS* と並んで、「革新的原子力」を挙げている。
 たった、2文字である。
 5つの提言の中には一言もなかった。

 これらを見ても、原子力に対する学術会議の消極さが、際立っている。メンバーの中に、原子力担当者がいないのではないか。原子力推進で「社会的側面での課題」があるのなら、その課題解決のための提言がなされていないのは怠慢である。そもそも、その「課題」が何であるかも示されていない。

               学問の勧め 松平春嶽

 じつは3年前の提言では、もっと踏み込んでいた。
 2017年9月12日公表の「我が国の原子力発電の在り方について」のなかの、提言6では、「原子力発電の将来のあり方に関わらず、福島事故への継続的対応、他の原発の廃 炉、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の処分、その他の原子力利用等、原子力利用 関連事業は長期に続く。これらに携わる専門的人材育成は国として継続的に取り組むべき 課題である。そのため、原子力発電、放射性物質・放射線に関わる専門知識はもとより、 エネルギー問題全般、安全や安心、社会との対話や社会における合意形成等に関わる幅広い知識を習得した人材の育成を図るべきである。」とある。

 まさにいま、この視点が欠けている。だから先日のように理不尽な判決が発生する。
 日本国民が、原子力に積極的に関与すれば、まちがいなくリスクは減少する。放射能が怖いから、原発を見ないでおこう、隠してしまえとすることが、われわれ自身を破滅に追いやるのである。
スポンサーサイト



トラックバック
トラックバック送信先 :

プロフィール

  佐治 眞悟

Author:  佐治 眞悟
本音を言えない人たちに代わって
     酔狂じじいが吠えている
           妄言ブログです
  
ブレーンストーミングなので、
    批判厳禁、ただ乗り大歓迎です 
「拍手」いただければ、励みになります

地元中小・零細企業の応援
         経営コンサルタント             

最新記事

カテゴリ

ホーム1 当ブログの紹介  (1)
ホーム2 当事務所の事業紹介 (1)
*政治・経済* (1055)
 原発、エネルギー (147)
 歴史認識、軍事、外交 (268)
 経済、貿易、財政、税制 (131)
 憲法、法律、選挙、裁判 (96)
 政治家、政策、政局 (244)
 インフラ、防災、環境、人口 (123)
 食糧、農林漁業 (46)
*社会・哲学* (1059)
 社会一般 (166)
 高齢化、医療、死生観 (263)
 格差、差別、弱者、女性 (98)
 時事、事件 (75)
 マスコミ、広報、ネット (55)
 文化、スポーツ、演劇 (87)
 教育、学問、科学、宗教 (49)
 生物、進化論 (26)
 山行、県外旅行 (112)
 地域、町内、祭、イベント (128)
*経営* (514)
 中小企業施策 (76)
 経営革新、戦略、手法 (97)
 知財、著作権、情報 (11)
 リスク (35)
 再生、倒産、資金繰り (9)
 マーケティング (40)
 ものづくり (65)
 人づくり (59)
 商品、固有技術 (76)
 個別 事例 (46)
*画像と俳句・川柳・詩* (182)
 山の景観 (51)
 山の花、里の花(桜) (61)
 旅行、温泉 (48)
 スポーツ(運動会)、祭り (19)
 その他 (3)
*アーカイブ* (3)
 平成25年1月(1~31日) (1)
 平成25年2月(1~28日) (1)
 平成25年3月(1~31日) (1)
*ブログ主の個人情報* (54)

月別アーカイブ

最新コメント

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR