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「ゾンビ企業」の再生(8月14日)

 ダメな企業がすぐ潰れるより、金融支援を受けながら再生を期するほうがいい

 竹中平蔵氏は、小泉内閣時の金融大臣である。先日取り上げた、ハジュン・チャン氏とは対極をなし、世間からは、《新自由主義者》のレッテルを張られている。
 私は、竹中氏の理論にすべて反対ではない。気鋭の経済学者として、尊敬さえしている。しかし、彼が「中小企業金融機能円滑化法」や「雇用調整助成金」を、悪法だと断じていることには首を傾げる。竹中氏は、「税金をつぎ込んで、《ゾンビ企業》の延命工作をすることに意味はない・・」という。

 竹中氏のこの考えは、個別中小企業の実情を無視している。つまり、これらの金融支援を受けている中小企業の半分以上は、現状の経営状態が悪いためではない。過去の失敗を引きずっているのである。ほとんどは20年前のバブル崩壊のとき、最近ではリーマンショック前後の為替変動による損失である。つまり、本業以外のところで、負債が膨らんでしまったところが多い。金融機関に唆されたところもある。
 本業自体でも、たまたま思い切ってやったことが失敗した、というものが大半である。したがってほとんどの企業は、今行っている通常の業務では、やっていけるだけの業績は挙げている。

 竹中氏は、こういう債務超過の企業でも、潰してしまって新たに再挑戦すればいいという。しかしこれは、暴論である。氏自身もわかっていると思うが、今の中小企業の負債は、経営者自身や親族・知人が個人補償しており、潰したくても潰せない。潰れることのできる企業は、ましなほうだ。また日本では、一度潰れた企業に対して、取引先も金融機関も冷たい。
 したがって、現在の制度を変えない限り、再挑戦は今の企業の枠組みの中でやるしかない。もちろん竹中氏は、「代表者が個人補償を行うような、現行の金融慣習を改めるべきだ。そうすれば、企業を潰して、新たに起業することができる。」と言っている。でも今は、そうなっていないし、法律が変わっても、国内の商習慣がそう簡単に変わるとは思えない。

 竹中氏の言うように、ダメな企業が潰れて、すぐ起業できるような世の中がいいのか、今の日本の政策のように、現在の企業形態の枠組みの中で(金融支援を受けながら)再生を期することがいいのか、どちらにも理屈はある。業態によっても異なるはずだ。
 ただ私自身は、少なくとも日本では後者のほうが適していると思う。なぜならゲームみたいに、やってみてダメだったらあっさり、周りに迷惑をかけ自分だけ倒産するようなことが、狭い日本で受け入れられるとは思えない。それよりも、過去の負債を引きずって頑張り、周りの支援を受けながら再生するほうが、日本的である。武士道にもかなっている。
 また日本では、新規創業企業が成功する割合は10%もない。さらに重要なことは、一度失ってしまった組織としてのノウハウ・技術は、もとには戻らないのだ。

 アメリカのように簡単に会社が潰れ、簡単に起業できることがいいのなら、アメリカは理想社会になっているはずである。現実はそうなっていないところに、竹中氏の言説の限界があると思う。
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