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陽性率6%をどうみるか

 統計の基本を説明できない専門家やコメンテーターが、数字をもてあそんでいる

 昨日、慶応病院で、新型コロナ患者以外の入院患者のPCR検査を行ったところ、67人中4人が陽性と判定されたという。じつに6%(5.97%)である。偽陽性でないかどうか、数回検査したということから、この数字はほぼ間違いない(とする)。

 この数字をそのまま当てはめれば、東京都民1000万人なら、60万人が陽性患者ということになる。ここまでいけば、だれが感染していてもおかしくない。ワイドショーなどは、大騒ぎである。

                猫の祟り

 しかし、(病院での陽性検査が間違いないとしても)この数字をそのまま当てはめるのは、いかにも乱暴である。
 まず入院患者の場合、それまで外来で、何度もこの病院に通っていたはずである。もともと院内感染の多いところだけに、この数字を都民全体に当てはめるわけにはいかない。

 さらに、統計上の誤差を考慮する必要がある。
 ある割合%が出た場合、その誤差の範囲は、95%の確率でつぎの式で示される。

  誤差=±1.96√割合%(100-割合%)/測定数

 すなわち、慶応病院の場合
  誤差=±1.96√6(100-6)/67=±5.7% となる

 この場合、陽性者6%であるから、母集団である東京都民が陽性者である確率は、0.3%から11.7%の範囲となる。もともと病院という、感染確率の高い条件を考えれば、6%という数字は、あまり意味がない。ほとんどゼロに近いか、逆に感染率が11%以上ある可能性もある。
 当たり前だが、少ないサンプルで、さらに発生件数が少ないときには、きわめてばらつきが大きい。眉に唾をつけて聴くべきである。

               恐怖の鳥

 逆に発生件数が多いときは、注意が必要である。
 もし慶応病院で、67人中50人(75%)が陽性者だったらどうか。
 その場合の誤差は、
 誤差=±1.96√75(100-75)/67=±10.4%

 この場合、母集団である東京都民が陽性者である確率は、64.6%から85.4%の範囲となる。最低でも65%となると、かなり深刻な事態である。

 したがって、67人程度の観測で、しかも5~6%以下の数字を真に受けてはいけない。不作為の調査ということなら、1000件程度は欲しい。これくらい調査して、はじめて誤差±3%ほどになる。政権支持率調査と同じ規模である。これでもばらつきはある。


 これに限らず、新型コロナの問題では、統計の基本を説明しない専門家やコメンテーターが、数字をごまかす。とくに、わずかな例外事項を針小棒大に取り上げ脅している。国民を疑心暗鬼にさせ、パニックを起こそうとしているなら、とんでもない話である。
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