検査至上主義が破滅を招く④
検査で病気は治せない
医療で重要なことは、健康な体と免疫をつくり病気にならないこと ③のつづき
それでは、検査はどのように活用したらいいのか。
一般に、ものづくりにおいて、検査では以下2つのことが求められる。
ひとつは、「流出防止機能」である。不合格品を選別することによって、悪いものを後工程に送らないことである。不良品が顧客の手に渡ることは最悪である。後工程が社内だとしても、やり直しや廃棄など余計な手間がかかる。
医療では、直ちに治療に移すか隔離・島流しにする。
もうひとつは、「再発防止機能」である。不良を発見したらその情報を、発生源へフィードバックする。工程の異常を見つけることによって、不良の被害をできるだけ減らす。異常の発見は、早ければ早いほど処置がしやすい。不良発生の元を断つことである。
病気の場合は、社会の罹患状況を把握することである。統計上、効率的なやり方を取る。
いずれの場合も、検査の結果を速やかに反映できることが大切である。それができなければ、検査はまったく意味がない。それどころか有害になる。
いま新型コロナのPCR検査は、「遅い、高い、まずい」である。いずれの役にも立たない。
もともと検査自身は、直接価値を生むものではない。
WHO事務局長の「検査、検査、検査」は、検査のあとの処置ができることが大前提である。なにもできなかったら、かえって社会の崩壊を起こす。PCR検査は、日本の医療現場のレベルに合わせなければ、ムダどころかパニックと大災害になる。

医療は高度な品質管理である。ものづくりも考え方は同じである。
そのものづくりで重要なのは、プロセスを重視することである。検査はムダと考える。不良でないとわかっていれば、検査はいらない。
レベルの高い企業(たとえばトヨタ)は、手順や訓練を確実にしてすべてのプロセスの妥当性確認を行っている。検査はそれを再確認するにすぎない。
医療の場合は健康な体をつくり、病気にならない、感染しないことにつきる。
そしていまは、人類と天敵であるウィルスとの、大戦争の真最中である。まともな治療薬のないウィルスに勝つには、兵糧攻めしかない。すなわち体内に2~3週間とどめておけば、ウィルスは飢え死にする。人類にできることは、感染を広げないことしかない。
手洗いの励行に加え、「密閉・密集・密室」における他人との濃厚接触を避けるという行動こそ、「プロセス重視」なのである。さらに、適度な運動と栄養、睡眠をとってストレスのない生活をすることで免疫をつける。
その意味で、小学生に言うように「手洗い励行」をしつこく呼びかける、厚労省のやり方は、医療の王道である。
現在新型コロナの影響で、一般病院の外来患者が大幅に減っている。
病院へ行かない方が、寿命が延びる。おかげで高齢者が増えてしまう。また新たな問題が発生する。ほんとはこのほうが深刻である。
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