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横浜クルーズ船騒動

 この反省を踏まえ、「緊急事態」は防疫のための船の中まで適用させる

 先週のサンデーSPというTV番組で、先月横浜に停泊したダイヤモンドプリンセス号の従業員証言から、感染隔離実態の一部が明らかにされた。もちろん、乗員・乗客3700人という、巨大で複雑な組織と船舶中の、ほんの「虫の目」にしか過ぎない。それでも、船舶や日本政府関係者の混乱ぶりがよく分かった。

 これだけ大人数なら、何事なく航行していても、てんやわんやである。高齢の乗客が2000人はいるから、通常でも毎週2~3人亡くなる。新型コロナ肺炎患者が見つかれば、大混乱になって当たり前である。船内でパニックになる人もいたに違いない。

 しかもこの組織には関係者がたくさんいた。
 クルーズ船籍のイギリス、運営会社、船長、アメリカCDC。さらに船長はイタリア人。乗客・乗員の国籍は、53か国にもわたっているという。対応に当たった日本側は、神奈川県、厚労省、官邸、自衛隊、医療班など、これもややこしい組織や団体が入り込んで、右往左往していた。私のようなぼんくらが派遣されたら、もっとひどいことになった。
 
                タヌキの勢揃い

 つまり、派遣された日本側の担当者は、船内のことがまったくわからない。言葉も通じない。したがって、船内で働く従業員の協力がなければ、立ち往生である。
 もちろん従業員も人間である。協力的な人もいれば、その反対もいる。
 いやがる従業員を説得し、わがままな乗客の見張りや通訳をしてもらう。
 派遣された職員は、行き当たりばったりの対応しかできない。だれも、指示がどこから来たのかはわからない。そもそもあの船の最高責任者はいったい誰だったのか。いまだにはっきりしない。

 本来は、船の指揮権は船長にあるはず。だが前述のように、持ち主やら国籍が入り乱れ、だれがリーダーシップをとるのか、取らなければならなかったのか見えてこない。まさに船頭が入り乱れ、違う山に登ってしまったのである。

 それでも曲りなりに、決められたことを実施し、一月後にはみな帰路についた。亡くなった人が数名いたようだが、高齢者が3000人もいれば、新型コロナでなくても10人くらい死ぬ。
 この知見が、今アメリカに接岸している、同じ状況のクルーズ船に、活かされようとしている。つまり船内隔離は、労力がかかる割にメリットがない。幸いアメリカは世界最大の軍事国家である。軍人の宿泊施設はいくらでもある。まったく異なった対応ができる。

                  タヌキの金玉

 すべては、まだ道半ばである。
 いまのところ、一番得をしたのは乗客である。もちろんウィルス感染し、発症した人、亡くなった人も数名いる。
 それでも日本が寄港拒否していれば、全員船内で死ぬかもしれなかった。
 大多数の乗客は、2週間の船旅を無料にしてもらったうえ、さらに2週間も豪華客室で、3食昼寝付きの優雅な生活を楽しめた。下船したあとも、感染拡大を言い訳に、地域や関連団体の厄介な仕事を引き受けないで済む。
 うらやましい限りである。いいことは、自分の口から絶対言わない。

 一番損害を被ったのは、クルーズ船の運営会社であろう。
 おまけに、同じことをアメリカでも繰り返している。これで倒産しなかったら、これまでよほど稼いでいたのだろう。
 
 日本政府も大きな損失を受けた。検疫や治療のため多くの人たちが船に入り、感染した人も数人発生した。感染者はすべて国内の病院で治療を行っている。これらの費用はきっちり請求する必要がある。果たしてクルーズ船の会社は、それまで持つのか。

 この反省を踏まえ、いま詮議中の「緊急事態法」は、防疫のための船の中まで、確実に適用させなければならない。船頭は一人でなければならない。
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