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逆転経営

 番組にするなら専門的内容にまで入り、管理や固有技術に絡めたストーリーが欲しい

 1月13日のNHK「逆転人生」は、「注目の着ぐるみ工場“社員の輝き”で大躍進」と題して、キャラクター製造会社の女性経営者を特集していた。社長はかってシングルマザーとして、仕事と家庭の両立に苦しんでいた。その体験をもとに、残業三昧の職場を改革した。職場のコミュニュケーションを重視、さらに労働時間を減らすことで生産性をあげ、社員の創造力を引き上げていったという。

 その結果、事業は順調で海外からの受注も増えた。“女性を輝かせる職場”として国から表彰されたこともある。中小企業における、ワークライフバランスの取り組みとして、注目されている。
 中小企業経営モデルケースの一つである。

               タヌキの勢揃い

 しかし工場経営は、そんな簡単にいくものなのであろうか。番組では、かなりポイントとなる事柄を省いていたように思う。
 いくつか疑問がある。

 まず、急激に仕事が増えたため、いきなり20人もの社員を雇用したことである。それまでは夫と2人だけの会社である。製品のコンセプトやつくり方など、まだ試行錯誤している段階であった。しかも採用者は、近所の主婦でまったくの素人である。
 これではうまくいくはずがない。
 大量採用の段階で、工場内の配置や役割分担、生産計画はどうなっていたのか。
 従業員個人にいくら潜在能力があっても、いきなりの増員で混乱は避けられない。おそらく当座はなにをしていいのかわからず、右往左往。手直しやつくり直しの連続で目も当てられない状態だったと推察する。

 家庭の主婦が、日常的に残業することを前提としたのもおかしい。生産計画すら、できていなかったと思われる。正確でなくとも計画さえ立てられれば、ほぼ納期がつかめる。お客に迷惑をかけることはないし、無理に残業しなくてもいいはずである。
 退職者が相次ぎ、混乱に拍車をかけていたことは、容易に想像できる。コミュニュケーショどころではない。


 ただいくら混乱していても、1年すればそれなり習熟する。生産のやり方も固まってくる。社員一人ひとりとの会話ができたのは、工場内がすこし落ち着いてからであろう。現場が混乱したままではキャンセルも相次ぎ、会話どころではない。
 もちろん、社員とのコミュニュケーションは重要である。
 だがそれ以前に、最低限の管理のしくみを作っておくことが、必要だったのではないか。

 幸運もあったはずである。
 ブームが過熱して競争相手が乱立する前に、分業体制での製造方法を確立できたこと。個別・単品生産だけに、ある程度以上の価格で売れる。決まった値段がないだけに、価格交渉が重要である。ほんとのノウハウは、このあたりにあったのかもしれない。

               さばえものづくり2018 H30.10.27


 せっかくものづくり企業が、独自製品を開発し、生産性を向上させていったモデルケースである。ここは経営のプロがしっかりと、最初の問題点と改善に至った要因を、理論的に分析し、わかりやすく説明して欲しかった。成功因子は、社員とのコミュニュケーションだけではないはずである。
            

 いまの朝ドラ(スカーレット)にいまいち人気がないのも、あまりに人間関係ばかり重視しすぎているからではないかと思う。ドラマと言えど、もっと専門的内容まで入り込んで、管理や固有技術に絡めたストーリーが欲しい。
 事業成功をドラマにするなら、せめて、まんぷくラーメン開発物語くらいの、技術や経営ノウハウを描いた方が現実性があって興味がわく。(個人差はあるが)ドロドロした人間関係ばかりでは嫌気がさす。青臭くて、とてもドラマや番組に入り込めない。
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