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プロトン冷凍技術

あらゆるものが冷凍保存されるようになると、まちがいなく電気の使用量は増大する
 
 最近の冷凍技術の進化は目覚ましい。つい間近は新しい発想の、プロトン冷凍技術が実用化されている。おせち料理など、あらゆる食材を新鮮なまま凍結できる。冷凍でもほとんど味が変わらない状態で、長期間保存できる。
 何が違うのか。

 むかしの通常冷凍は、食品中の水分がゆっくり凍るため、結晶となって体積が膨らみ、細胞を破壊してしまう。解凍したとき水分が流れ出るなど、冷凍以前の組織を維持することができなかった。
 そこでつぎに急速冷凍技術が出てきた。流体を対象物に当てることで急速に冷やす。その当て方や、流体の工夫で性能の差別化をはかっていた。とくに低温液体は高い熱伝導率を持つため、急速冷凍効果が大きい。いずれも、細胞内の水分すべてが凍る前に部分氷結させ、細胞の破壊を防ぐ技術であった。
 ただこの方法だと、対象物の表層しか急速冷凍できない。そのため、ブロック状の肉や大きな魚などは、冷凍用に加工するなどの工夫が必要であった。

               水素結合

 そこで実用化されたのが、冒頭に挙げたプロトン冷凍という、まったく新しい原理の冷凍技術である。
 これはプロトン、つまり原子レベルでの磁力作用を活用する。
 図のように、水は水素原子2個と酸素原子の共有結合である水分子どうしが、ゆるやかに水素結合している。水素結合はゆるいので、液体では上下左右バラバラに動き回っている。零度近くになると、動きが遅くなり水素結合がはじまる。そこで、水分子のマイナス側(O)とプラス側(H)がつながっていく。これが氷の6角結晶で、すきまができ体積が増える。
 
 プロトン冷凍は、この原子結合状態に着目した。
 すなわち、冷凍対象物に磁力線を当て、水分子のマイナス側(H)とプラス側(O)を矯正することで、水素結合をなくし分子が結晶することを防ぐ。氷になっても6角結晶しないので、体積はそのままである。

 まさにコロンブスの卵である。水の分子レベルでの挙動や性質を知っている人なら、思いついても不思議ではない。
 そのおかげで、まったく次元の異なる冷凍技術を開発することができた。

                飛躍

 この技術はいつ開発されたのであろうか。
 過去の特許文献を検索したら、平成11年に「特開2000-325062」が出ていた。どうもこれが最初らしい。もちろんその後も各社から、改良特許が出ている。20年前のアイデアが改善を重ね、ようやく実用化されたのである。

 冷凍技術が進んでいくと、食材の廃棄は少なくなる。だが、あらゆるものが冷凍保存されるようになると、まちがいなく電気の使用量は増大する。
 最近開発された、レーザー照射で鉄骨の錆をとる技術も膨大な電力が必要である。世界人類100億人に無駄なく食料をいきわたらせ、インフラを維持していくためには、ますます高密度なエネルギーが不可欠となる。
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