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海洋プラスチック汚染

 トリチウム水の海洋放出なんかで騒いでいることが、とんでもなくあほらしくなる

 国連で演説した16歳のグレタさんが、環境問題を意識したのは、海に浮かぶ膨大なプラスチックごみの映像を見たことだと言っていた。現在世界中で、プラスチックは毎年4億㌧以上生産され、そのうち1700万㌧が海に流入しているといわれる。2050年まで累計すると、海に生息する魚介類の重さを超える。なにしろ、プラスチックは分解されにくいので、溜まる一方である。

 流出量が最も多いのは中国で、世界の1/4を占めている。続いてインドネシア、フィリピン、ベトナムと続く。これらの国から海に出たプラスチックごみが、海流に乗って日本の近くを通り、還流の集積所に向かう。つまり日本周辺は、世界最大のプラスチックごみの通過、沈殿、集積所となっているのである。

 中嶋亮太氏(JAMSTEC研究員)の「海洋プラスチック汚染」によると、有象無象のプラスチックごみはつぎのようなことから発生する。
 まず陸上や海の上からポイ捨て、ごみ処理施設や下水処理施設からの漏出、イベントでの風船飛ばしなども危ない。また農業で使うビニールや肥料カプセル、魚網や釣り糸の廃棄、道路粉塵など。毎年海上輸送では、1000個以上のコンテナが紛失している。さらに近い将来、廃棄された膨大な量のソーラーパネルが、路頭に迷う。なにしろ、ありとあらゆるところにプラスチックが使われている。

 ゴミの内容は、大型の漁具やレジ袋大のものから、5ミリ以下のマイクロプラスチック、それが分解され1μMより小さなナノプラスチックになったものも増えているという。これらは海流に乗って大洋の「集積所」に集まる。ただその前に、付着物によってほとんど海の底に沈んでいく。いろんなところで海の生物が食べ、それを人が食べる。

                人魚姫
 これらはどんな実害があるのだろうか。「海洋プラスチック汚染」によると、以下のような影響を生物に及ぼす。

①マクロ(大きな)プラスチック
 海鳥やウミガメなどが、レジ袋などプラスチックごみを食べることで、胃や腸が詰まり、死に至る。クジラやイルカなどの大型動物は、釣具や魚網などの大型魚具を呑みこんで、七転八倒している。わかりやすいので、繰り返し映像が流れる。

②マイクロ(1ミリ)プラスチック
 動物プランクトンやカキなどの貝、サンゴなどが、1㍉ほどのマイクロプラスチックを食べ、繁殖能力を落としている。また本来の食材を食べなくなって死に至る。日本近海には、世界平均27倍のマイクロプラスチックが漂っており、そのホットスポットとなっている。

③ナノ(0.001ミリ)プラスチック
 もっと小さい、μ大のナノプラスチックは、消化器官から循環器系に入り込み、さらに脳組織に蓄積する。これが魚介類に浸透し始めているという。もちろん、それを食べる人間に影響しないはずはない。おかげで「放射脳」など、脳のおかしくなった人が増え始めた。

④毒物の吸着
 海中のプラスチックは、これまで垂れ流したPCB、DDTなどの残留有機汚染物質を吸着する。これらも分解しにくい。ナノ・マイクロプラスチックは体積に比べ表面積が大きいので、より多くの毒物を集めて吸着していく。その濃縮した毒素を魚が食べ、それを人間がおいしくいただいている。さんまの大漁に喜んでばかりいられない。

⑤化学物質の影響
 プラスチックに含まれている各種添加剤(酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色材、抗菌剤などの)化学物質が、本体から浸みだしている。むろんこれらも、生物にとっていいわけがない。残留モノマーは、発がん性や突然変異誘発性の危険性が指摘されている。


 なにしろ、これまで数億トンレベルの、膨大な量が海に流れ込んでおり、いまもなお毎年1700万トンが、海の中に流入している。すべてのものは、ある限度の量を過ぎると急激に毒に変わる。いくらなんでも、そろそろ限界である。
 これをみたら、トリチウム水の海洋放出なんかで騒いでいることが、とんでもなくあほらしくなる。プラスチックごみの影響は、「風評」でなく、まさに「実害」である。

                ゴミ袋
 さてどうすればいいのか。
 これまで流出したものは、ほとんどが海底や海溝に沈殿し、回収は極めて困難である。今の技術では不可能といってよい。また海面上に漂うマクロプラスチックのほんの一部は回収できても、マイクロ・ナノプラスチックとなると、これも難しい。

 放射能をたっぷり含んだ汚染水を海洋注入し、ガンマ線で分解することも考えられる。ただ福島にあるトリチウム処理水くらいでは、太平洋でゴボウを洗う程度の貢献しかできない。

 海底に沈んだと思われる、膨大なプラスチックごみは、今後どのような環境影響を与えるかわからない。それほど影響ないかもわからないし、今後の量的・質的変化によって、とんでもない環境影響をもたらす可能性もある。もしかしたら、温暖化問題より重要かもしれない。

 現実にできることは、これ以上海洋放出するプラスチックごみを少なくすることである。回収を確実にすることと合わせ、生産量を減らす。あるいは生分解性プラスチックに切り替えていく。いま人類にできることはその程度である。
 これではまた、グレタさんに叱られる。
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