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技術士の資質向上

 「有能性の重視」を口実に難しい仕事を受けなければ、イノベーションを阻害する

 技術士筆記試験の、今年度の合格発表があった。合格者は年末年始の口頭試験を受ける。その試験を受ける際、必ず覚えておかなければならない事項に、3大義務と2つの責務、そして10項目の行動指針がある。

 そのなか、技術士の「資質向上の責務」(47条の2)では、「技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない」とある。

 多くの場合、「資質向上」は仕事の遂行を通してなされる。いくら机上で勉強しても、現場の仕事では、役に立たない。ほんとに力が付いたと実感できるのは、これまでできないと思っていた仕事ができたときである。またどんな仕事にも新しい要素がある。実践することで力が付き、それがイノベーションとなり、経済成長を支える。もちろん専門外の仕事を受けるといっても限度がある。ライセンスなしに、ジャンボ旅客機の運転や、すい臓がんの手術などを行うわけではない。

                飛躍

 一方、技術士の行動指針の中には「3.有能性の重視」というのがある。ここでは、「技術士は、自分の力量が及ぶ範囲の業務を行い、確信のない業務には携わらない」と謳っている。ここで、簡単にできることしかやらないというのは、明らかに先の「資質向上の責務」と矛盾する。

 そしてこの行動指針が、多くの技術士の資質向上と技術革新を制限している。現実の仕事は千差万別である。自分の力量の範囲で確信の持てる業務などほとんどない。やったことのあるやさしい仕事ばかりでは、仕事量も限定される。

 つまりできることしかしない「3.有能性の重視」は、人の怠け心を増幅させてしまう。
 最近の私も、しばしば「3.有能性の重視」を理由に、頼まれた仕事を断るようになった。これではもう、資質向上など望めない。
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