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理不尽な原発責任判決

 関係者が断罪されなければ事故の教訓を活かせず、文明の発展はありえない

 先日、東電の原発事故をめぐり、強制起訴されていた元会長勝俣恒久被告(79)ら3名の判決があり、全員が無罪を言い渡された。裁判長は、最大の争点だった2011年3月の巨大津波を予見できたかどうかについて、「予見可能性を認めることはできない」と判断したという。

 もちろんこの判決に対し、原発告訴団は、「被害者はこの判決に納得していない。弁護士が即時控訴することを望む」と反発している。

 まったくその通りである。私自身も納得していない。裁判上の法的テクニックは別として、東電の幹部たちは決して無罪などではない。もし彼らに責任がないとすれば、あの事故は、人知及ばぬ不可抗力の出来事だった、ということになってしまう。そんなこと、あるはずはない。

               裁判所 R1.6.12

 すなわち事故後におこった一つひとつの不具合を見ていくと、簡単な準備さえあれば起こらなかった。そのうちいくつかでも対策が施されていれば、あそこまで重大事故にはならなかったといえる。

 ハード面では、配電盤が集中していたこと、ベント機能、注水機能が不十分であったことである。具体的には、それらを動かすための、弁やモーター、動力の冗長性が不足していた。こんなものは、その気になれば簡単に低コストで対応できていた。
 ソフト面では、SPEEDEIと呼ばれる緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムが、ほとんど避難の役に立たなかったことである。そもそも、20キロ以上の大規模避難は、まったく想定していなかったという。

 つまり、原発反対者に気を使うあまり、東電関係者はやるべきことを怠ってしまったのである。この罪は重い(反原発者も同罪である)。あの程度の津波発生を知らなかったはずはない。関係者が断罪されなければ、失敗が失敗でなくなってしまい、事故の教訓を活かすことが難しくなる。
 そんなことでは金輪際、文明の発展などありえない。それでなくても、世界の中で日本が取り残されようとしている。この判決は、それにいっそう拍車をかける、大きな火種をつくってしまったのである。

                 幽霊怖い
              
 そもそも、原発事故の「被害者」とは誰か。
 ふつうに考えれば、一番被害を受けたのは、東京電力である。原子炉が破壊されたうえ、補償金まで取られる。そのつぎに、原発の販路を失った原子炉メーカー、政府、自治体、最後に近隣住民となる。あの大災害では、2万人余りの人が亡くなった。だが、原発事故で直接亡くなった人はいない。逃げ回っている人は、放射能という「亡霊」に脅えているだけである。そのうえ補償金まで要求している。

 最大被害者である電力会社を貶めた人々を断罪することで、再発防止を確実にする。摺合せ技術の向上でしか生きるすべのない日本では、原発エネルギーは、何がなんでも進めなければならない。人々の放射脳アレルギーに配慮している余裕などまったくない。
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