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日本国憲法の前文

 つぎはぎだらけの憲法を大事にする日本は、ゆで蛙になって昇天する

 6月30日の福井新聞「憲法へのまなざし4」では、「芸人」松元ヒロ氏が、舞台で憲法前文を朗読していることが紹介された。あるときその「芸」のあと、作家の井上ひさし氏が楽屋を訪れ、憲法は素晴らしい名文だと絶賛したという。井上氏は憲法に否定的な石原新太郎氏との論争のあと、松元氏の朗読を聞いて、あらためて感激したらしい。

 はたして憲法は、名文か悪文か。護憲派にとっては名文でも、改憲派にとっては悪文に思えるであろう。
 その前文は以下の通り。

≪日本国憲法前文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、 われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって 再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに 主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。≫

                シカと見た R1.6.27

 恥ずかしながら、前文をじっくり読んだのは初めてである。600字余りのこの文について、私には名文か悪文かの判別はつかない。
 ただ、分かりにくいところがあるのは確かである。

 まず1フレーズ目に、≪そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。≫とある。
 これを、「人類普遍の原理」と勝手に決めつけていいのだろうか。日本は、単細胞の国民ばかりではない。他の選択肢も残すべきではないか。

 つぎの段落では、≪日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。≫とある。
 いくら、敗戦ショックで異常な精神状態に罹っていたとはいえ、この文言はあまりにも他人まかせでお人よしである。小学校の校歌ならともかく、こんなフレーズが日本を代表する憲法前文に載っていることが恥ずかしい。これでは「国際社会において、名誉ある地位を占め」られるはずがない。しかもこの文言は、つぎの段落の内容と矛盾する。

 最後の段落は、かなり踏み込んでいる。
≪われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。≫
 「政治道徳の法則」が何を意味するのかよくわからないが、この内容はまさに日本が自主防衛することを宣言したものと解釈できる。しかも一国平和主義を排し、世界の紛争解決に尽力することを誓っているのである。

 したがって、第2段落と第3段落の内容は矛盾しており、当然第3段落の解釈と9条の戦力放棄はまったく食い違っている。本文を見ても矛盾だらけであり、よくこんなつぎはぎだらけの憲法が、70年以上大事にされていたのか不思議である。このままでは日本は、ゆで蛙になって昇天する
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