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顧客情報のスピード

 いくら工場が合理化しても、流通段階でぶち壊せば元の木阿弥である

 これまでのものづくは、必ず流通段階でのロスが発生していた。
 たとえば、眼鏡枠製造業者が眼鏡をつくるのは、たいてい問屋からの注文による。その問屋が発注するのは、小売店からの受注に応じた売り上げ見込みによる。さらに小売店は、各店主の思惑で、売れそうなメガネを問屋に発注する。受注生産と言ってもこの程度である。

 すなわち、製造業者に入る情報は、流通の各段階での予測に過ぎない。実際にお客が何を買うのかは、売れてみなければわからない。したがって、必ず流通段階では在庫が残る。売れ筋の商品でも、色やサイズによって残る場合がある。小売店からメーカーに至るまで、その在庫の押し付け合いを行っているのが現状である。

              在庫切れ休業 H30.2.10

 では、その流通在庫をつくらないために、どうすればいいのか。
 理想的なのは、お客が注文したものをその場で作って提供する。これで製品在庫は無くなる。飲食店と同じで、お客が訪れた店舗内で「一人屋台方式」を貫けば、在庫レスが実現できる。

 眼鏡枠の場合、さすがにいまの段階では、小売店で完成品までつくるのは難しい(待ち時間がかかりすぎる)。そこで、小売店でお客にフィッティングし、その情報を工場に送る。工場ではそのデータに基づいて眼鏡枠をつくる。1枚づつつくるから、ロット待ちが無くなり、1週間も経たずにオンリーワン商品ができる。レンズ加工するのと同じ期間なら、お客にとっての待ち時間は変わらない。
 じつは最近、このやり方を取り入れようとする眼鏡メーカーが現われた。眼鏡のように度数を合わせないアクセサリーのような商品なら、小売店にいかなくてもいい。




 同じことは、どの業界でも当てはまる。
 たとえば建築資材をつくる会社なら、なにをつくるかが決まるのは、施主の依頼を受けて建築設計者が具体的な仕様を決定した瞬間である。
 これらの情報は、設計者→工務店→建築資材業者→商社→メーカーと何段階も経て、ようやくものづくりのメーカーにたどり着く。したがって、具体的な仕様が決まってからメーカーに情報が到達するまで、約1か月かかる。メーカーはそこから製品をつくり始める。原材料を発注している時間はないので、見込みで在庫しておく。当然使わない材料が発生するし、見込みで作ってしまえば、こんどは使わない製品在庫が溜まる。
 
 この建築材料の場合でも、工務店などで設計者が仕様を決定した瞬間、その情報がメーカーに届くようにすれば、メーカーはその時点で原材料を発注できる。材料のムダが無くなるし、圧倒的な短納期で納めることができる。
 ITだIOTだと言っている時代、こんな簡単なことができないはずはない。いち早くこの仕組みを取り入れた企業は、5年間くらい大儲けできる。

                ネズミだ

 以上は中小企業の話である。
 大企業ばかりの自動車メーカーは、その膨大な情報ネットワークをもとに、もっとうまくやっているはずであった。
 ところが、先日トヨタの新車を購入したとき、購入決定から納品まで2週間もかかった。トヨタ工場では、組み立て開始から完成車ができるまでのリードタイムは数時間のはずである。なぜ納車に2週間もかかるのか。
 営業担当に聞くと、カーナビ、ドライブレコーダー、ETC、コーティングなどの手配や取り付け、それに事務処理に要する時間らしい。これでは、いくら工場で合理化しても、元の木阿弥である。世のなかは矛盾に満ちている。
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