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在宅介護

 週1回の介護サービスも、こんないいところなら私の方が行きたい

 酷暑がようやく終わった9月中ごろ。父は死にかかっていた。年齢は98才と6カ月。ネコのエサのごとく、細い食事が続いていた。骨と皮で今にも老衰死しそうな雰囲気で、杖をついての歩行さえおぼつかない。枕元に私たち長男夫婦を呼んで、「もう長くない」といって、「重要書類」のありかを示した。

 介護保険が適用できないか、ケアマネージャーに相談。認定が決まるまで1か月もかかったらとても持たない。このまま衰弱が進み、近いうちXデーが来るはずだった。
 長時間家を空けられず、私の行動にも大きな制約がかかった。あとわずかの命だと思った。

 自宅で亡くなると、警察の鑑識が来て根掘り葉掘り聞かれる。解剖にも回されるらしい。ややこしくなるので、死ぬまぎわ医者を呼びたい。かかりつけは皮膚科しかいない。近くの内科医がいるのだが、いかにも往診に来たくないオーラを発している。もし死にかかったら、救急車を呼んで救命医療をしなければならない。

                蓮如上人 H30.11.25

 そうやって見送りの準備をしているうち、とっくに1か月過ぎた。どうも様子がおかしい。秋が深まるとともに、食事の量が3倍になり、杖を突かなくても歩くようになった。歩き回るほうが、かえって寝たきりより厄介である。あの瀕死の状態は、いったいなんだったのか。

 思い当たるふしがある。転機は、お試しケアホームとみられる。朝と夕方、送り迎えの車の中から、若い女性介護士さん達の艶めかしい嬌声が聞こえていた。
 ケアホームでは、美女に囲まれ至れり尽くせりだという。食事の世話はもちろん、会話や遊びの相手、トイレまでついてきてくれる。アルコールがないだけで、高級ナイトクラブと違いはない。利用者も女性が多く男性高齢者は2割もいない。まさにハーレムである。

 蘇ったのはまちがいなく、若い女性にちやほやされる期待が高まったからである。これまで通っていた、熟女ママのカラオケ喫茶とは雲泥の差である。若い女性に接待されるデイルームに、朝から晩まで1000円で通えたら、こんな極楽浄土はない。まさに、乙姫様に囲まれた竜宮城である。キャバクラなら、1日10万円では済まない。


 先月11月の終わりから、週1回そのケアホームに通っている。
 そろそろ終わりにしてほしい。こんないいところなら私の方が行きたい。さすがに親子でケアホーム通いは不自然である。本人事後承諾のもと、早々と「延命治療不要」の通告を出した。このままでは、Xデーは当分先であろう。迷走は続く。
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