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憲法の条件

 護憲ムラの人たちは、具体的な憲法改正案が出てくると、理想論をぶち上げて潰す

 井上氏や伊勢崎氏以上に、ややこしい空中戦に持ち込んで憲法改正を阻止しようとしているのが、東大法学部を根城としている「護憲ムラ」の住人たちである。

 たとえば、大澤真幸氏(THINKING[O]主宰)、木村草太氏(憲法学者)は、共著で「憲法の条件」を発行。この本で彼らは、アメリカの社会学者ロバート・ベラー氏の、つぎのような演説を引用している。

≪世界の大国は、使わない核兵器をもっている。人類が生き延びるためにはいつか処分しなければならない。つまり世界中がいずれ日本の憲法9条を持つ。だから日本は世界で最も進んだ国なのに、「普通の国」になって遅れた国に追いつきたいと言っている。これはおかしい。≫

 また大澤氏は、≪日本では、他の地域でつまらない紛争していると思っているのに、自分のこととなるとヤギしか住んでいない尖閣で揉めている。客観的にみるとそんなに重要なのか≫とも述べている。

 さらに、木村氏は憲法学者らしく、集団的自衛権は違憲だという根拠を述べていた。その一つは、憲法73条に規定された内閣の行う事務の中に、「外交」はあっても「軍事」がないからだという。

              いざ決戦

 しかしベラー氏は、彼自身アメリカ人であって、日本のことを他人だと思っているから言えるだけである。人類が一度持った強力兵器を、そう簡単に手放すはずはない。アメリカに潰されようとしている北朝鮮ですら、グズグズ言っている。

 また尖閣では、なにもヤギを巡って争っているわけではない。尖閣は、中国封じ込めの、戦略的・地政学的に重要なポイントである。また海洋における島の帰属は、領海とそこに埋まっている膨大な資源に影響する。現に中国からは大量の漁師が日本領土内の魚をごっそりと捕獲し、さらに堂々と海洋の地下資源を略奪している。
 そして「軍事」は、外交の延長であり当然「外交」に含まれるとする見方も多い。

 そのうえ彼らは、日本が敗戦を受け入れ国際社会に参加するためには、(いくら理不尽であっても)陛下や首相の靖国参拝を自粛すべきだとも述べていた。これも、現代日本人からすれば、違和感どころの騒ぎではない。



 そうかといって大澤氏や木村氏は、ガチガチの護憲派ではない。じつは右翼も吃驚の、軍拡主義者であった。
 彼らは、次のように言っている。

 ≪沖縄の基地が厭なのは、それがアメリカの基地だからである。ヘイトスピーチは、国に認められたいと思い、国はアメリカに同じことを考えている。これは、自国の憲法に自信をもたなければ解消できない。≫
 
 ≪本来だったら、憲法9条のねらっているところは、グローバルな平和に貢献することなのに、たとえ戦争が起きても自分たちは何もできませんということになり、自分勝手に見えてしまう。そこが、憲法9条を擁護する側のアキレス腱になっている≫

 ≪1国平和主義に反対したい人は、国際公共価値を前面に出すべきである≫


 まさに憲法前文にある、『われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて・・』を実行すべきである。

 すなわち、集団的自衛権のような中途半端なことではいけない。いくら金を遣ってでも、日本の国土は日本自身で守るべきであるといっている。専守防衛は攻撃国の2倍の武力を必要とするから、いまの20倍、100兆円の防衛予算をつけなければ、中国に対抗できない。
 いまの日本国憲法は、敗戦というきわめて異常な精神状態の中、アタフタと作り上げたものに過ぎない。冷静に考えれば、不備だらけである。彼らの論理によれば、日本の名誉のためには、現憲法は抜本的な改正が必要なのである。
 それならどうすればいいのか、さっぱりわからないのが、「護憲」理論の致命的な欠陥である。

              微妙なバランス

 間違いなく言えるのは、護憲ムラの住人たちは、面と向かって憲法改正に反対することはできない。現憲法が欠陥だらけであることは、100も承知だからである。したがって、今回のような具体的な憲法改正案が出てくると、それ以上の理想論をぶち上げて具体案を潰そうとする。
 現実の政治では、実際出てくる具体案というのは、すべて妥協の産物である。理想論からは程遠く、いくらでも難癖がつけられるのである。
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