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生物の不思議①

 生物は成長することと繁殖することがすべてであり、ひたすら生と性を貪る

 久しぶりに生物学の著書を読んで、あらためて生物界のおもしろさに触れた。鈴木紀之氏(農学博士)の「すごい進化」である。
 今回は、鈴木氏の著書を要約し、テントウムシ生態の一部を紹介しよう。

 テントウムシは、アブラムシを捕食している。そのアブラムシの中で、栄養価が少なく捕まえにくいマツオオアブラムシが繁殖している松の木には、クリサキテントウが住んでいる。アブラムシは、松以外にもあらゆる樹木に住み着いており、ほとんどがマツオオアブラムシより捕まえやすく栄養価も高い。

 ではなぜクリサキテントウは、あえて松の木に住み着いて、割の合わないマツオオアブラムシを食べて生きているのか。クリサキテントウが、他のテントウムシの住むところに行って、アブラムシを捕ったとしても他のテントウムシに排除されるわけでもない。アブラムシはいくらでもいる。

              テッチー

 鈴木氏の考察によると、これはナミテントウとの交雑を避けるためだという。つまり種の異なる生物同士は繁殖できない。交尾しても子が生まれない。
 2種のテントウムシが同じ場所に住み着いていると、異なった種同士で求愛と交尾が頻発する。自然界ではこのみさかいのない乱交が頻発している。とくにクリサキテンウのオスは、仲間のメスと同じように、ナミテントウのメスにちょっかいを出す。オスは(いくらでも交尾できるので)幸せである。一方のナミテントウのオスは、クリサキテントウのメスに求愛することなどしない。同種間で「正常な」交尾・繁殖が行われる。
 そのためクリサキテンウのメスは、交尾機会が少なくなってしまう。つまり繁殖・子孫ができず、生物として最優先の目的が果たせない。したがってクリサキテントウは、ナミテントウのいない、ひどい環境に住まざるを得ないのである。


 このように地球上の多くの生物は、自分たちと近い品種とは同じ生態系に住まない傾向がある。例えばヒトとネアンデルタール人は共存できなかった。サルが地球にいるのは、よほどの変態のヒトでなければ、チンパンジーといたしたいと思わないからである。人類が絶滅寸前にまで少なくなれば、また事情は変わるかもしれないが。

              オシベ花

 もう一つ、残酷な事実がある。
 クリサキテンウのオスは、ある有害バクテリアに感染する確率が高く、メスが生み落したオス卵の一定割合は孵化しない。孵化したばかりのメスは、そのオスの卵を食べて成長する。食料となるオス卵がいなくなるころにはある程度成長し、孵化したときには捕獲できなかったマツオオアブラムシを、捕食できるようになるのだという。
 他種のメスにみさかいなく手を出すクリサキテントウのオスは、その報いを受けているのである。


 生物は、成長することと繁殖することがすべてである。人間様みたいに、「生きる目的」に悩むことなく、ひたすら性と生を貪る。まさに生み生きる物である。

  その②
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