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タイの洞窟救助

 冒険少年たちを救った温かいタイ国民の人柄は、世界中を虜にする

 タイのタムルアン洞窟に閉じ込められていた少年たち13名が、無事救出された。行方不明から18日目である。世界中がほっとした。
 雨季で冠水が増える。洞窟内の酸素も薄くなり、時間との戦いであった。脱出するには多くの起伏を越え、雨水がたまった場所は潜水しなければならない。空気ボンベを付き添いのダイバーに渡し、狭い空間をすり抜けるという難路である。

 今回幸運だったのは、まず世界有数のプロダイバーに発見されたことである。
 少年らのいたところは、洞窟の入り口から5キロも奥で、発見するのも大変である。いるかどうかわからないのに、決死の覚悟で5キロもの厳しい洞窟内を探索したのである。訓練したプロダイバーでも危険を伴う。現に今回の救出作業中、元特殊部隊のダイバー1名が亡くなっている。

              円満仏

 そして、今回の事件報道で世界を感心させたのは、タイの国民性である。このような事件が起こると、日本では必ず「勝手に洞窟に入っての遭難は身勝手だ」、「自己責任だ、放っておけ」という声が大きくなる。福井でも2004年、冬の大長山で関西の学生が遭難したときは非難轟々であった。中東でボランティアが3名、テロ組織に拘束されたときも、自己責任論が主流であった。

 しかし、タイではそのような声は少なく、ほとんどのタイ国民は少年たちを責めることなく無事を祈っていた。救出のため洞窟からの排水で田んぼが冠水してしまい、田植えのやり直しを強いられた農家からも、愚痴めいた話は聞こえてこない。
 このような温かい国民の人柄は、世界中を虜にするであろう。もっとも、閉じ込められたのが少年だったこと、日本のメディアが事実を報道していない可能性は大きいのだが。

            雪隠詰め H30.6.16

 このような行方不明事件は、たいていの場合、かなりの確率で行方不明のまま片づけられる。世間が忘れたころ、洞窟内で悲惨な光景が繰り広げたあげく、全員が亡くなる。その後不明者たちの白骨死体が発見される。そのときはじめて、人々はかって行方不明事件があったことを思い出すのである。高校の生物部員だったころ、10匹以上いたハツカネズミの世話を忘れ、共食いで無残に変わり果ててしまった飼育かごの始末が忘れられない。
 つまり事件にならない悲惨な出来事は、この洞窟事件の何十倍もある。北朝鮮による拉致は、その典型例であった。
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