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大噴火の恐怖

 破滅的な超巨大噴火はあきらめるしかない。それ以下の噴火のほうがリスクは大きい

 先月本白根山が噴火し、11名が負傷、1名が亡くなった。数年前には、御嶽山の噴火で58名が亡くなっている。また現在、蔵王山でも噴火の兆候が表れており、日本は火山活動期に入ったといわれている。今後、本白根山や御嶽山噴火どころではない大噴火が起こる可能性が大きい。
 自然災害の中で大噴火は、大地震や洪水とは比べ物にならない打撃を、地球の生命体に与える。

 「地学ノススメ(鎌田浩毅著)」によると、大噴火は規模によっておよそ、超巨大噴火、巨大噴火に分けられる。大噴火は以下のようなものである。

【超巨大噴火】
 地球の中心部から湧き上がった膨大なマグマが噴出したもの。
 地球表面を移動している地殻プレートが、マントルの下部まで達することで地球中心部の外核(溶融金属)を刺激し、その熱がマントル部に伝わる。高温となり粘度と比重が軽くなったマントルが地表に向かい、さらに低圧となり溶解する。その膨大なマグマが大陸の下部に蓄積し、限度を超えると大量に噴出する。

 2億5000万年前、巨大大陸が分裂するきっかけとなった噴火がその一つである。このときは、火口の周囲数百キロわたり、厚さ3キロもマグマが積み重なった。それが当時1つであった大陸の何か所かで起こり分裂、大陸移動がはじまる。もちろん周囲の生物は全滅である。膨大な噴煙は地球を覆いつくし、長年にわたって地球の平均気温を10数度も押し下げた。日が当たらないので植物が育たず、それを餌とする動物も生きられない。この時、地球生命体の95%以上が絶滅した。

 そこまで破滅的ではないが、超巨大噴火は6500万年前、恐竜が絶命した時期にも起こったという。これは数千万年おきに起こっている。この超巨大噴火が、生命体の断絶と時代区分をもたらす。最後に起こったのが約3000万年前であることから、もういつ起こってもおかしくない。大陸の下には、超巨大噴火を起こす膨大なマグマが溜まっている。つぎの超巨大噴火によって、地球は人類を駆逐し、新たな主人を迎えることになる。
 ただここまで間隔があると、今後数万年と言われる人類の生存している間に発生する可能性は少ない。

          経ヶ岳より御嶽山噴煙 H26.10.29撮影

【巨大噴火】
 超巨大噴火とまではいかないが、地域を丸ごと飲み込んでしまうのが巨大噴火である。
 周知のように日本付近では、大陸プレートの下に海洋プレートがもぐりこんでいる。もぐりこんだ海洋プレートの水分がマントルを柔らかくし、大陸プレートの下でマグマが発生する。その溜まったマグマが噴出して出来たのが、東北~北海道、九州にある火山帯である。マグマは絶えず供給され、溜まり具合や圧力によって、一定期間内に必ず噴火する。

 29,000年前と7,300年前に鹿児島付近で起こった巨大噴火では、高温の火砕流が九州全土を覆い九州の縄文人は全滅。日本全土が灰まみれになったという。そこまで行かなくても、1914年の桜島大噴火で成層圏まで上昇した火山灰は、麓では1日2M積もり、東北地方にまで広がっている。1816年のインドネシアのタンボラ山噴火では、島の住民12,000人のほとんどが死亡。600㌔離れた島まで火山灰で覆い尽くしたという。さらに数年にわたって世界中を寒冷化させ、これがアメリカ西部開拓の要因とも言われている。

 そしていま、最も危険視されているのが、北朝鮮と中国国境にある白頭山である。この山で1100年前起こった有史上の最大噴火では、700℃を超える火砕流が火口から半径100㌔を焼き尽くし、大規模土石流が4000平方㌔を超える森林を破壊した。北海道や東北でも、5㌢を超える灰が積もった。
 いま同じような噴火が起これば、マグマや火山灰に加えて、頂上付近の20億㌧もの水が溢れだし、北朝鮮と中国東北部は壊滅的な被害を受ける。日本でも、大規模な火山灰の被害が出ることは避けられない。寒冷化のため、数年は世界の農作物が不作となる。北朝鮮での次元の異なる破局で、人類の歴史が動くかもしれない。


 数十年から数千年おきに必ず発生する巨大噴火のほうが、リスク(発生確率×被害の大きさ)は大きい。巨大噴火でも地域全体が壊滅するものより、そこそこ噴火のほうが頻発する。破滅的な噴火は、もし起こったらあきらめるしかない。それこそ人類滅亡のいい機会である。
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