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起業の失敗① 機械設計・製造

 機械製造事業では、加工ノウハウと製品見栄え価値とのバランスをとる必要があった

 いまの仕事につく前の40代、2度起業を試みた。ひとつは機械設計事業、そして眼鏡部品製造業である。いずれも(あとから見ればアホみたいな)基本的な戦略ミスがあって、途中下車してしまった。その2つの失敗談である。

①機械設計製造
 40歳近くまで、眼鏡枠メーカーで新製品開発や合理化のための生産技術者として生産設備の設計を行っていた。眼鏡枠製造では、鍛造、鋳造、射出成型、切削加工、溶接、研磨、表面処理、組立に至る工程と、それらの金型製造など、多様な技術分野がある。毎月、新デザインの製品がいくつも開発されるから、常に新しい技術の取得も要求されていた。

 したがって、42歳で眼鏡メーカーを退職し、機械設計・製作会社を立ち上げたときは、たいていの仕事はこなせると思った。丁度バブルまっさかりで、仕事の依頼はあった。工場を機械化することで、作業が正確になり効率が上がる。ややこしくても面白い。ロボコン大会のようなもので、趣味でやるなら楽しい。

                   壁をぶち破れ
 しかし1年ほどで、壁にぶち当たってしまった。
 ひとつは、非常に手離れが悪いことである。いくら手間をかけても、お金にならない。
 仕事はほとんど、本邦初めての機械の製作である。そのため、打ち合わせなど設計に時間がかかる。また機械の形はできても、思った通りの動きをしてくれるとは限らない。加工精度や生産スピード、機械の耐久性など、最初からうまくいったためしがない。

 さらに機械技術者として、機械のことは理解していても、異なる分野の商品を造るのは初めてである。肝心の製造ノウハウが未熟では、うまくいかないのは当たり前である。本来なら、加工しようとする商品の特性をよく理解したうえで、機械の設計に取り掛かる必要があった。そしてそれには、時間がかかり、多くの失敗が必要である。最初から事業として成り立つわけがない。


 つぎに、機械を提供する事業の場合、大型で見栄えの良い製品ほど高額で売れ、利益は大きい。だが、顧客企業にとってのコストパフォーマンスは悪い。簡易的な設備や冶工具で同じ機能を満たすことができれば、顧客は有利になっても、当社の利益は薄い。アイデアにはお金を払ってくれないからである。
 だから顧客満足を追求して、良心的であるほど、この事業は儲からない。事業として成立させようとすれば、価値と価格の設定の仕方を、大幅に変える必要があった。保険診療に依存する医療業界のように、ヤブ医者ほど儲かるしくみではないのである。


 したがってこの仕事を事業として成り立たせるためには、特定分野の加工技術に集中するか、顧客と契約するときの条件を設定するノウハウを身に着けなければならなかった。
 戦略の転換を試みようとしているうちに、違う話が舞い込んできた。そのため、この事業は1年ほどで撤退する。


 以下②へ続く
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