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レスリングでの事故

 リスクを恐れてすべてのスポーツをしなくなったら、悲惨な世界が出現する

 今年9月に行なわれた男子レスリングの強化合宿で、有望選手が重大事故に見舞われていたことを、週刊文春が公にしていた。他のメディアも追随している。

 事故は、スパーリングで2人が組み合った状態で、後方に投げてマットに倒れたとき、頭から落ちたといいものである。頚椎損傷の重傷で、現在も入院生活を余儀なくされている。一命を取り留めたものの、首から下が自力で動かせない。車椅子に乗ることを目標にリハビリに励んでいるという。

              茹で鼠

 悲惨な出来事である。だが体を動かすスポーツをやっている限り、このような事故は避けられない。隠していたわけでもない。公表しなかっただけである。当事者のプライバシー問題でもある。だからスクープでもない。公表したところで、再発防止ができるわけではない。

 むしろ文春の記事は、記事にすべきではないことまで公にしたのではないか。
 怪我をした選手、対戦していた選手、双方の心の傷を抉り出すだけである。ただでさえ傷ついた精神は、回復不能になる。誹謗中傷にも晒される。

 格闘技では絶対安全は望めない。このようなリスクがなければ、競技として誰も顧みない。リスクを恐れて、人々がすべてのスポーツをしなくなったらどうなるか。精神を病んだ人たちばかりの、悲惨な世界が出現する。同じことは組体操にも言える。
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