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医師不足の原因

 専門医をなくせば解消するが、業界は人材不足を演出することで既得権益を守っている

 10年ほど前から、左耳がややこしい病に罹り、定期的に耳鼻科に通っている。耳以外にも、前立腺異常、歯周病、皮膚病などで、これらも数か月おきの定期便である。突発的な病気や健康診断を含め、毎年5~6回は病院に通うようになった。

 そのお世話になる医師が不足しているという。
 医師不足だといわれるのは、私のような高齢者が増えて通院回数や入院患者が多くなったことと、病気によって診察件数をこなせないからであろう。地域や病院によっては、過労死寸前まで働いている医師が、珍しくないという。
 とくに小児科や産婦人科のように、24時間受け入れ態勢が必要で、しかも医療事故につながりやすい科目は、医師の成り手が少ない。地域によってのマッチング不足も大きい。

      必死の救命行為 H28.11.13

 しかし、毎年8000人以上が医師国家試験に合格し、総数では30万人を超えている。歯科医を含めたら、40万人以上になる。私のように、国民一人が年間5回病院へ行っても、医師は1500人の患者を診ればいい。皮膚科や耳鼻科のように、医師一人で毎日100人診察できるなら、医師の数は今の1/10でも足りるはずである。

 したがって医師不足の最大の原因は、病気の種類が専門ごとに細分化されていることである。厚労省の資料では、通院回数だけで日本人平均13.1回にもなる。これはOECD国のダントツである(2番目のドイツが8.4回、スェーデン2.9回など)。
 細分化されていると、少し病気の種類が異なるたびに、違う病院に行かなければならない。年よりはあらゆるところが病んでいる。私のように5~6カ所は少ない方で、たいてい10か所以上の病気を抱えている。そうなると日本人の通院回数は多くなる。


 したがって、1箇所であらゆる病気を診察できれば、この問題はあっという間に解消する(ほんとは高齢者の診察を制限すればいいのだが)。
 私が子供のころは、目や耳、皮膚の病気でもすべて内科だけで間に合った。ほんとに専門的知識が必要なのは、一部の患者だけである。耳の穴を掃除したり、潰瘍の薬を調合するのに、細分化された専門医が必要なはずはない。80%以上の病気は、共通医で充分診察できるはずである。つまり、医師の「多能工化」である。

 10種類の病気でも、まとめて診察すれば、トータル時間は2~3倍ですむ。全体の効率は3倍になる。さらに診察する医師以上に、受診する患者の効率が格段に高くなる。われわれが1回通院すればほぼ半日が潰れる。国民平均13回の通院が1~2回でよくなれば、一人当たり6日間/年のムダ削減になる。一人1日2万円としても、年間14~15兆円、国内の生産性が向上する(仕事をしていない高齢者は無理やり働かせる)。


 こんなことはとっくにわかっているはずなのに、なぜやらないのか。
 どの業界も、人材不足を演出することで、既得権益を離したくないからである。ムダをなくした生産性向上分の何割かは、医療業界から消える。だから、一部の患者のための専門医だけが、どんどん増える。いつまでたっても、医師不足は解消しないのである。
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