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グローバリゼーションと自由貿易

 世の中は不公平にできていることだけはまちがいない

 これまで正しいと信じられていた「グローバリゼーション」が怪しい。
 佐伯啓思氏は、新潮45の2月号、「反幸福論」(グローバリズムという怪物)の中で、「自由貿易が経済を成長させるという命題は、経済学者の過剰宣伝」と喝破している。

 佐伯氏は、およそ以下のように述べている。
 グローバリズムの親戚である自由貿易は、「比較優位」にもとづいている。
 ただ比較優位が成り立つのは、比較するものがほぼ同じ価値を持つ、ということが前提である。また、将来の可能性や成長性は無視している。
 たとえばアインシュタインは、研究とタイプが両方できる。そこで、アインシュタインが研究に専念し、有望な助手にタイプだけやらせておけばどうなるか。アインシュタインを超える研究は、絶対生まれない。

 またある国が、付加価値の高い工業製品(たとえばシリコンチップ)に特化し、別な国は農業製品(ポテトチップス)を必死に作り続ける。これは公平と言えるだろうか。ポテトチップスをつくっていた国も、シリコンチップをつくりたいと思うはずである。
 資本や技術の移動が容易になった現在では、十分可能である。そうなると、世界中がシリコンチップ競争になる。

        難民の行列 H29.6.11
 
 もっと深刻な問題は、業種間格差及び集中格差である。金融やITといった分野では、一部の卓越した知恵者が世界中の富を集める仕組みになっている。製造業のように大きな設備投資や雇用をしなくても、開発商品はいくらでもコピーできるからである。
 つまり世の中には、同じ労力をかけていても、1億円入る仕事と、100円しか入らない仕事がある。この格差は、グローバリゼーションでますます拡大する。

 こうなると、グローバリゼーション、貿易自由化、保護主義などといったものが、経済成長や雇用不安、地域間格差、所得格差とどう結び付くのか。その関連性はきわめてややこしい。これに北朝鮮のごとく、軍事力が加われば、わけがわからなくなる。
 結局、世の中が不公平にできていることだけはまちがいない。
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