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「太平記」の世界

 いま日本が平和なのは、途上国の犠牲の上での、砂上の楼閣に過ぎない

 「太平記」は、後醍醐天皇が即位された文保2年(1318年)から約50年の間に起こった歴史物語である。物語であるから、史実と創作とを交えている。後醍醐天皇が、栄華を極めている鎌倉幕府の執権の北条高時から、権力を皇室側に奪おうとして起こした戦がきっかけで、南北朝からそれが解消されるまでの戦乱を描いている。

 あらすじは、
 楠正成、新田義貞、足利尊氏たちが後醍醐天皇側に立ち、大戦さの末に鎌倉の北条高時とその出先である六波羅探題を滅ぼした。後醍醐天皇は、それまで北条氏が支えていた光厳天皇を廃帝とし、「建武の中興」にいたった。

 その後、領地分けの不満などから、足利氏と新田氏が争いを起こす。後醍醐天皇の子である大塔宮を殺害した足利氏は、後醍醐天皇側についた楠正成、新田義貞らと壮絶な戦いを繰り返す。

 いったん九州へ追い払われた足利軍が、大軍を引き連れて楠正成を打ち破ると、後醍醐天皇は吉野へ退く。足利尊氏は、光厳上皇を再び即位させ、京と吉野にそれぞれ天皇がおられる「南北朝時代」がはじまった。
 北陸で勢力を蓄えていた(南朝側の)新田義貞は、越前にある足利方の城をつぎつぎ攻め落とした。だが小さな足羽城(福井市にある)を攻めるとき、不覚を取って討ち死にしてしまった。

 新田義貞を失って気落ちした後醍醐天皇が亡くなり、南朝は後村上天皇が即位する。南朝を支援する武士たちの奮起もむなしく、天下は北朝の足利氏の勢力が拡大していった。北朝天皇も足利氏に優遇されていたわけではない。

 楠正成の没後13年がたち、息子の楠正行が成長。北朝を脅かすようになったが、兵をあげ足利氏に敗れたため、南朝天皇はますます窮地に追い込まれていった。

 しかし今度は足利方の内紛によって、尊氏の弟の足利直義が後村上天皇側について、南朝が勢いを盛り返す。新田義貞の息子たちの軍勢が現れ、再度敵味方が入り乱れた展開になる。最後に辛うじて足利尊氏が勝ち残って京を占領し、後光厳天皇を擁することになった。
 やがて尊氏は54歳にして病で亡くなると、2代将軍足利義詮の時代になる。

       いざ決戦

 このように「太平記」では、果てしなく戦の記述が続いている。南北朝の一方がいったん破れても、諸国に散らばっている者たちを集めれば、数万とか数十万という軍勢を、あっという間に集められる。それが不思議なところである。

 100年後の1467年。応仁の乱をきっかけに、ふたたび戦国時代が始まった。その後徳川家康が統一するまで、日本はまさに戦乱に明け暮れていたのである。
 
 日本が平和国家だというのは、真っ赤な偽りである。いま日本が平和なのは、他の途上国の犠牲の上での、砂上の楼閣に過ぎない。
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